Meta、Horizon OSのサードパーティ提供を一時停止
Metaは、同社のVRヘッドセット「Quest」に搭載されている混合現実(MR)オペレーティングシステム「Meta Horizon OS」を、サードパーティ製ヘッドセットメーカーに提供するプログラムを一時停止したことを発表しました。この決定は、Metaが自社製ハードウェアとソフトウェアの開発に集中するためと説明されており、かつてメタバース戦略の重要な柱であった方針からの転換を示唆しています。
プログラムの背景と当初の目標
Metaは昨年4月、Horizon OSをサードパーティに開放する計画を発表していました。その目的は、PCやスマートフォン市場で見られたように、ユーザーが多種多様なデバイスからMetaのデジタル世界に参加できる「新世代のハードウェアエコシステムの構築」を目指すことでした。当時、Asus、MicrosoftのXbox、Lenovoといった大手企業が、このソフトウェアを搭載した新しいハードウェアの開発に取り組んでいるとされていました。
一時停止の理由と今後の展望
今回のプログラム一時停止について、Metaの広報担当者は「VR市場を進化させるために必要な、世界クラスの自社製ハードウェアとソフトウェアの構築に注力するため」と説明しています。ただし、これは永続的な停止ではなく、「カテゴリーの進化に合わせて、サードパーティとのデバイス提携機会を将来的に再検討する」方針も示されており、今後の動向が注目されます。
メタバースからAIへの戦略シフト
Horizon OSは、ハンドトラッキング、ボディトラッキング、アイトラッキング、フェイストラッキングといった技術を通じて「複合現実体験」と「ソーシャルプレゼンス」を実現するために設計され、マーク・ザッカーバーグ氏がメタバースを「未来」と位置付けていた時期にローンチされました。しかし、近年、Metaの関心は人工知能(AI)へと大きくシフトしており、この方針転換の背景にあると見られます。今月初めには、MetaのVR/ARハードウェア部門であるReality Labsのメタバースグループが、最大30%の予算削減に直面する可能性が報じられました。これに対しMetaは、「メタバースからAIグラスやウェアラブルへの投資の一部をシフトしている」ことを認めており、今回のHorizon OSプログラムの一時停止も、同社の全体的な戦略変更の一環として捉えられます。
