FCC委員長、放送局への脅迫を後悔せず
連邦通信委員会(FCC)のブレンダン・カー委員長は、コメディアンのジミー・キンメル氏の番組を放送した局への発言について、一切後悔していないと、上院商業委員会での証言で明確にしました。彼のこの発言は、言論の自由と放送規制のあり方について、激しい議論を巻き起こしています。
議論の的となった「Kimmel発言」
昨年9月、保守派活動家の殺害事件に関するキンメル氏のジョークを受けて、カー委員長は放送局に対し「簡単な方法と難しい方法がある」と発言し、これは放送局への脅迫と受け止められました。これに対し、テッド・クルーズ上院議員(共和党)を含む一部の議員からも批判の声が上がりましたが、カー委員長はこれを「民主党による歪曲」と一蹴。放送免許には「公益基準」があり、自身の職務はこれを執行することであると主張しました。
独立性を失ったFCC?
民主党の議員らは、FCCの独立性についても疑問を呈しました。ベン・レイ・ルーハン上院議員(民主党)がFCCが独立機関であるか否かを問いただしたところ、カー委員長は明確な返答を避けました。さらに、FCCのウェブサイトから「独立」という文言が削除されていたことが判明し、この変更がいつ、なぜ行われたのかが焦点となっています。委員長は、トランプ前大統領や政権関係者との間で、メディア企業への圧力を目的とした会話があったかについても回答を拒否しました。
共和党と民主党の攻防
公聴会では、民主党議員がキンメル氏に関するカー委員長の発言を厳しく追及する一方、共和党議員は民主党の「偽善」を批判し、ブロードバンドマップやロボコール詐欺対策といった別の話題に焦点を当てる場面もありました。
- エイミー・クロブシャー上院議員(民主党)は、カー委員長がトランプ氏の物議を醸す発言に対して同様の措置を取るか質問。
- カー委員長は、「攻撃的またはひどい」発言ではなく、「公益基準」に合致しないものを監視していると回答。
- アンディ・キム上院議員(民主党)は、「トランプ大統領はあなたの上司ではない。アメリカ国民こそがあなたの上司だ」と強く非難。
しかし、クルーズ議員とキム議員は最終的に、言論の自由は党派に関わらず尊重されるべきという点で一致する姿勢を見せました。
言論の自由と規制の未来
本件は、現代の政治環境における言論の自由と規制機関の役割について、重要な問題を提起しています。特に、SNSのような新しいメディアが台頭する中で、放送メディアに課される「公益基準」の解釈や適用範囲は、今後も議論の中心となるでしょう。クルーズ議員は、この状況を利用して、保守派に有利な法的変更を推し進めようとする動きを見せており、今後の議会の動向が注目されます。
元記事: https://www.theverge.com/policy/846845/fcc-senate-commerce-oversight-hearing-brendan-carr
