OpenAI、評価額5000億ドルで非公開企業トップに
AI分野の巨人であるOpenAIが、現役および元従業員が保有する株式の売却を通じて、評価額5000億ドル(約75兆円)に達し、世界で最も価値のある非公開企業となりました。Bloombergの新たな報道によると、この売却は総額66億ドル(約9900億円)に上ります。
今回の株式売却は、SoftBank、Dragoneer Investment Group、Thrive Capital、MGX、T. Rowe Priceといった投資家が参加しましたが、資金はOpenAIの金庫ではなく、株式やオプションを保有する個人に直接支払われました。これは、同社が直面する激しい人材競争において、従業員の引き留め策として極めて強力なツールとなっています。
激化するAI人材競争とOpenAIの戦略
OpenAIは、MetaのAIラボの活性化によるプレッシャーに直面しており、この夏にはMetaがOpenAIから少なくとも7人のトップエンジニアを、数百万ドル規模の契約ボーナスで引き抜いたと報じられています。今回の株式売却は、主要な人材を確保し、競争力を維持するためのOpenAIの戦略の一環と見られます。
巨額投資が支えるAIインフラ戦略
OpenAIの資金調達能力は目覚ましく、直近では8月に3000億ドルの評価額で400億ドルの資金調達を完了しています。このラウンドにもSoftBank、Thrive、T. Rowe Price、Dragoneerなどが参加し、BlackstoneやTPGといったプライベートエクイティ企業、Founders Fund、Sequoia Capital、Andreessen Horowitzなどの主要ベンチャーキャピタルも名を連ねました。
同社は今後5年間でOracle Cloud Servicesに3000億ドルを投じることを公約しており、これは現在の収益や準備金をはるかに上回る額です。しかし、Nvidiaが戦略的インフラパートナーシップの一環としてOpenAIに1000億ドルを投資する計画を発表するなど、その強力な資金調達の勢いは、この野心的な計画が非現実的ではないことを示唆しています。
企業形態変更の不確実性と潜在的リスク
今回の売却は、OpenAIとMicrosoft間の非拘束的な合意からわずか数週間後に行われました。この合意は、OpenAIが非営利団体から営利企業へと転換する道を開くものと広く見られていました。しかし、OpenAIの営利企業への転換はまだ法的に確定しておらず、今回の新たな株式売却は、もし転換が計画通りに進まなかった場合、重大な複雑さを引き起こす可能性があります。これは、同社の将来的なガバナンスと運営における潜在的なリスク要因として注目されます。
急速な製品開発と財務の現状
OpenAIは、最新のSora 2ビデオモデルとそれに付随するソーシャルメディアフィードを今週リリースするなど、驚異的なペースで製品開発と発表を続けています。2025年上半期には43億ドルの収益を報告しましたが、同時に25億ドルの現金を消費しており、大規模な投資と研究開発が継続していることを示しています。
