Anthropic、AIインフラ強化へ新CTOを招聘:激化する競争と信頼性への挑戦

Anthropic、AIインフラ強化に向け新CTOを任命

AI研究企業Anthropicは、元StripeのCTOであるRahul Patil氏を新たな最高技術責任者(CTO)として迎え入れました。Patil氏は今週初めに着任し、共同創設者のSam McCandlish氏からCTOの職を引き継ぎました。McCandlish氏は今後、チーフアーキテクトとして新たな役割を担います。この人事は、AIインフラの重要性が増す中で、Anthropicが技術部門の体制を強化し、激化するAIインフラ競争に対応するための戦略的な動きと見られています。

新リーダーシップ体制と役割

新CTOのPatil氏は、コンピューティング、インフラ、推論、その他多岐にわたるエンジニアリング業務を統括します。一方、チーフアーキテクトに就任したMcCandlish氏は、これまでの研究をさらに発展させ、事前学習や大規模モデルの訓練に注力する予定です。この組織変更により、同社の製品エンジニアリングチームとインフラ・推論チームがより密接に連携し、AIサービスの安定性と効率性を高めることを目指します。両氏ともに、Anthropicの社長であるDaniela Amodei氏の直属となります。

激化するAIインフラ競争とAnthropicの課題

今回のリーダーシップ体制の刷新は、AnthropicがOpenAIやMetaといった競合他社との激しいインフラ競争に直面している中で行われました。これらの企業は、コンピューティングインフラに数十億ドル規模の投資を行っており、AI開発におけるインフラの重要性が浮き彫りになっています。Anthropic自身のインフラ投資規模は不明ですが、速度と電力消費の最適化に対する強い圧力がかかることは必至です。

実際、AnthropicのClaude製品の人気は、すでに同社のインフラに大きな負担をかけています。今年7月には、Claude Codeのヘビーユーザー向けに新たなレート制限が導入され、サービスの安定稼働を維持するための対策が講じられています。これは、AIサービスの継続的な提供とセキュリティ維持において、堅牢なインフラがいかに不可欠であるかを示しています。

Rahul Patil氏の豊富な経験がもたらすもの

Patil氏は、20年以上にわたる多様なエンジニアリング経験を持ち、Anthropicに重要なインフラ構築の専門知識をもたらします。彼はStripeで5年間技術職を務めたほか、Oracleではクラウドインフラ担当のシニアバイスプレジデントを歴任し、AmazonやMicrosoftでもエンジニアリングの要職を経験しています。

AnthropicのDaniela Amodei社長は、「Rahulは、企業が必要とする信頼性の高いインフラを構築し、拡張してきた実績を持っています」と述べ、Patil氏の経験が「Claudeを企業向け主要インテリジェンスプラットフォームとしての地位を強化する上で、非常に大きな意味を持つ」と強調しました。Patil氏自身も、AI開発の「極めて重要な局面」でAnthropicに加わることに意欲を示しており、その専門知識がAnthropicのインフラ戦略、ひいてはAIサービスのセキュリティと信頼性に大きく貢献することが期待されます。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/02/anthropic-hires-new-cto-with-focus-on-ai-infrastructure/