はじめに:WindowsからLinuxへの決断
米The Vergeのシニアレビューエディターであるネイサン・エドワーズ氏は、Windowsの「ますます煩わしい」OSとしての側面に不満を募らせ、深く調査することなくLinuxへの移行を決断しました。2026年1月10日の記事で、彼はその後の数日間の体験を共有しています。
移行の初期段階での印象は「これまでのところ順調」というもので、特に困難を予想していたNvidiaグラフィックスカードのドライバ設定が拍子抜けするほど簡単だったと述べています。一方で、ゲーミングマウスがゲーム内でしか機能しないという奇妙な問題にも遭遇しましたが、全体としてはLinux環境で仕事を進め、ゲームを楽しみ、さらにはプリンターで印刷することにも成功しました。
CachyOSでのインストール体験
エドワーズ氏は、より知名度の高いUbuntuなどのディストリビューションではなく、最新のハードウェアに最適化され、ゲーミング設定が容易と評判のCachyOSを選択しました。インストールは以下の手順で行われました。
- Ventoy USBドライブにCachyOSライブイメージをダウンロード
- BIOSでSecure Bootを無効化
- Ventoyブートローダー経由でCachyOSディスクイメージを起動
しかし、最初の課題として、ライブイメージ起動時にマウスのボタンが機能しない問題に直面しました。これはインストール後も続き、彼のMad Catz Cyborg RAT 7ゲーミングマウスでは既知の問題であることが判明。一時的な解決策としてマウスを抜いたままにしています。
Linuxのインストールは、OSがカーネルと他の多くのコンポーネントで構成されるモジュラー型であるため、ブートローダー、デスクトップ環境、ファイルシステムなどの選択を迫られることになります。彼は4つのブートローダーからLimineを、13のデスクトップ環境からゲーミングサポートが充実しているKDEを選択しました。ディスクのパーティショニングでは、Windowsとは異なる物理ドライブにCachyOSをインストール。当初100GBだったルートパーティションは、後にPartedユーティリティを使って1TBに拡張されています。インストール自体はわずか6分で完了し、LimineブートローダーによってWindowsとのデュアルブート環境が構築されました。
期待以上のハードウェア互換性とソフトウェア導入
奇妙なマウスの問題を除けば、エドワーズ氏が試したほとんど全てのハードウェアが「すぐに動作した」と報告しています。CachyOSはNvidia GPUドライバを自動的にインストールし、モニター、スピーカー、Logicoolのウェブカメラも問題なく動作。さらには、ファイアウォール設定を少し変更するだけで「呪われた」プリンターも印刷可能になりました。
Linuxでのアプリケーション導入については、多様な方法があることを指摘。ディストリビューションの公式リポジトリ、GitHub、そしてFlatpak、AppImage、SnapといったユニバーサルなLinuxアプリプロジェクトが紹介されています。彼はCachyOSのウェルカムスクリーンからChromium、Discord、Slack、Audacityをインストールし、Arch User Repositoryからは1Passwordを導入しました。
Linuxでのゲーミング事情
CachyOSには、Proton互換レイヤー、Steam、Heroic Games Launcher(Epic、GOG、Amazonのゲームに対応)を含むワンクリックゲーミングパッケージが用意されており、Linuxでのゲーミング環境構築を容易にしています。パーティションを拡張した後、エドワーズ氏は『The Outer Worlds』をダウンロード。Proton経由で問題なく動作し、クラウドセーブの同期も可能だったと報告しています。しかし、ここでもゲーミングマウスがゲーム内では機能するものの、デスクトップ上ではクリックが効かなくなるという面白い現象に遭遇しています。
現在の最大の課題は『Minecraft: Bedrock Edition』です。MicrosoftがLinux版を優先していないため、子供たちと遊ぶためにJava Editionは動作するものの、iPadを使っている子供たちとのクロスプレイにはBedrock Editionが必要です。MCPE LauncherでAndroidアプリを動かす試みは失敗に終わっており、今後はWindows版をProtonで動作させることを検討しています。
未検証の機能と今後の展望
まだ試していない機能やツールとして、Windows Helloの顔認証に相当するLinuxのhowdy、Arcブラウザの代替となりうるZenブラウザ、クラウドストレージの同期、gitの設定、バックアップ戦略などを挙げています。また、コマンドライン版Spotifyプレイヤーにも興味を示しつつ、Windows XP風のKDE Plasmaテーマをインストールして楽しむなど、カスタマイズの自由度も満喫しています。
移行後の「後悔レベル:なし」
わずか1週間足らずのLinux使用期間であり、「ハネムーン期間」であることは認識しつつも、エドワーズ氏は「後悔レベル:なし」と結論付けています。彼のOSは、株主を喜ばせるためにブラウザや検索エンジンを変更させたり、無意味なAI機能を勧めたりすることがなく、全体的に「より静かな体験」を提供していると感じています。
もちろん、写真編集などの特定の作業や、子供たちとのMinecraft(Bedrock EditionがLinuxで動作しない場合)のためには、macOSやWindowsに戻る可能性も示唆しています。レビューエディターという仕事柄、多くのOSに精通する必要があるため、Linuxのみを使い続けることはないだろうとしながらも、最初の数日間は素晴らしいものだったとポジティブな感想で記事を締めくくっています。
元記事: https://www.theverge.com/tech/858910/linux-diary-gaming-desktop
