はじめに
トランプ政権が、アメリカ最大の電力網の一つであるPJMインターコネクションに対し、150億ドル規模の新規発電容量を追加するよう求めており、特にテクノロジー企業に対して、その容量が不要であっても契約に入札することを奨励していることが明らかになりました。
背景:データセンターの電力需要急増
近年、データセンター、特にAIの急速な発展に伴う電力消費量の増加が問題視されています。今後10年間でデータセンターの電力需要は約3倍に増加すると予測されており、PJM管轄地域(中西部と中部大西洋沿岸の13州、6,500万人以上をカバー)では、2025年の電気料金が前年比で10~15%上昇しました。過去10年間でピーク負荷は10%増加し、2027年にはさらに6.5%増加する見込みです。この電力需要の急増は、主にテクノロジー企業やデータセンター運営者のAI利用に起因するとされています。
PJMの反応と課題
トランプ政権の「声明原則」は拘束力がないものの、PJMはこれを慎重に検討している段階です。PJMの広報担当者はブルームバーグに対し、「これについて多くを語ることはない」と述べ、関連イベントへの不参加を表明しており、政権による強制的な介入には消極的な姿勢を示しています。
従来の化石燃料発電所の建設は、完了までに数年を要し、数億ドルもの費用がかかります。AIブームが終焉した場合、これらの発電所が採算の取れない資産となるリスクがあるため、多くの電力会社は長期的なコミットメントに及び腰です。
テクノロジー企業の新たなアプローチ
これまで電力事業に参入してこなかったテクノロジー企業は、より安価で、モジュール式で、迅速に展開できる再生可能エネルギーに目を向けています。特に太陽光発電とバッテリーは有望視されており、典型的な太陽光発電所は約18ヶ月で建設可能で、段階的に電力を供給できるため、データセンターの建設スケジュールとリスク管理により密接に連携できる利点があります。
PJMが強く依存している天然ガス価格の高騰も、電力価格上昇の大きな要因です。独立監視機関のMonitoring Analyticsによると、2025年の価格上昇の約60%は化石燃料の高価格に起因しているとされています。
今後の展望
データセンターによる電力需要の急増は、10年間の停滞を経て、電力事業者にとって新たな課題を突きつけています。トランプ政権の提案は、テクノロジー業界に新たな負担を強いる可能性があり、電力供給の安定化と持続可能性を巡る議論に大きな影響を与えるでしょう。
