画期的な海洋探査ロボット「C-Star」の誕生
海洋データ収集の分野に大きな革新がもたらされました。スタートアップのOshen Roboticsが、カテゴリー5のハリケーン「ハンバート」の中でデータを収集することに成功した世界初の海洋ロボットを開発したと発表しました。この快挙は、これまで過酷な気象条件下での海洋データの取得が困難であったという長年の課題を解決するものです。
海洋データ不足への挑戦:Oshen Roboticsの軌跡
Oshen Roboticsの創業者であるアナヒータ・ラヴェラック氏は、元々航空宇宙エンジニアを目指していましたが、大西洋横断自律ロボットレース「マイクロトランサット・チャレンジ」への挑戦を通じて、海洋データが極度に不足している現状を痛感しました。この課題を解決するため、彼女は2022年4月、電気技師のシアラン・ダウズ氏と共にOshen Roboticsを設立。当初は自己資金で25フィートの帆船を拠点に、過酷な海洋環境下で耐えうるロボットの開発に没頭しました。
「大量展開可能」「低コスト」「高性能」を両立したC-Star
同社が開発した自律型マイクロロボット「C-Star」は、100日間連続で海洋に留まり、集団でデータを収集できる能力を持っています。従来の大型ロボットを小型化するだけでは実現できない、大量展開が可能でありながら低コスト、かつ高性能という三つの困難な要素を両立させることが、開発における最大の挑戦でした。Oshen Roboticsは、この技術的障壁を見事に乗り越え、防衛機関や政府機関からの注目を集めるに至りました。
カテゴリー5ハリケーンでの前例なき成功
2025年のハリケーンシーズンを2ヶ月前に控えた時期、全米海洋大気庁(NOAA)からの要請を受け、Oshen Roboticsは15機のC-Starを配備。そのうち5機が米国領ヴァージン諸島付近に展開され、来襲が予測されたカテゴリー5ハリケーン「ハンバート」の観測ミッションにあたりました。当初は嵐の接近までのデータ収集が期待されていましたが、結果として3機のC-Starがハリケーンを完全に乗り越え、その間ずっとデータを収集し続けたのです。これは、海洋ロボットがカテゴリー5ハリケーン内でデータを収集した初めての事例となります。
広がる用途と今後の展望
現在、Oshen Roboticsは英国プリマスに拠点を移し、気象観測および防衛作戦の両面で英国政府を含む顧客との契約を積み重ねています。この画期的な成功は、海洋調査、気象予報、気候変動研究、さらには防衛戦略における海洋データ活用の可能性を大きく広げるものです。需要の増加に伴い、同社は近いうちにベンチャーキャピタルからの資金調達を計画しており、今後のさらなる発展が期待されています。
