2025年の米国AIスタートアップ資金調達の概要
2025年、米国のAI産業は力強い勢いを維持して幕を開けました。TechCrunchの集計によると、2024年には49社のスタートアップが1億ドル以上の資金調達ラウンドを達成しており、そのうち3社が複数回のメガラウンドを、7社が10億ドル以上のラウンドを調達していました。この加速する市場において、2025年には55社の米国AIスタートアップが1億ドル以上の資金調達を成功させています。
際立つ資金調達トレンド
2025年は、複数の企業が年間で複数回の「メガラウンド」(1億ドル以上)を達成するという特徴が見られました。特に、Anthropicが2回以上の10億ドル超えラウンドを達成するなど、合計8社が複数回の大規模資金調達を行いました。これは2024年の3社と比較して大幅な増加です。
また、10億ドル以上の大規模ラウンドは前年よりも件数は減少したものの、その影響力は大きく、AI分野への投資家の期待値の高さを示しています。2026年に入ってからも、Elon Musk氏のxAIが200億ドルのシリーズEラウンドを、Sam Altman氏のブレインコンピューターインターフェーススタートアップであるMerge Labsが2.5億ドルのシードラウンド(OpenAIがリード投資家)を調達するなど、今年も力強い年になる兆候が見られます。もちろん、まだ始まったばかりであり、この勢いが続くか注目されます。
月別資金調達詳細
12月の資金調達ハイライト
- オースティン拠点のMythic(AI向け省電力コンピューティング)がDCVC主導で1.25億ドルのベンチャーラウンドを調達。
- Chai Discovery(バイオテック・創薬AIモデル)がシリーズBで1.3億ドルを調達、評価額は12億ドルに。
- 生成メディアプラットフォームFalが2025年3度目の資金調達となるシリーズDで1.4億ドルを調達、評価額は45億ドル超に。
- Unconventional AI(次世代コンピューティング)がシードラウンドで4.75億ドルを調達、評価額は約45億ドルに。
- ボストン拠点の7AI(サイバーセキュリティAIエージェント)がシリーズAで1.3億ドルを調達。
11月の資金調達ハイライト
- AIワークスペースプラットフォームGensparkがシリーズBで2.75億ドルを調達、評価額は12.5億ドルに。
- 写真・動画生成モデル開発のLuma AIがシリーズCで9億ドルを調達、評価額は40億ドルに。
- 「Cursor」の開発元Anysphereが23億ドルを調達、評価額は293億ドルに。同社にとって2025年2度目の資金調達。
- AIエージェント向けウェブインフラのParallelがシリーズAで1億ドルを調達。
- ヘルスケアAIエージェントのHippocratic AIがシリーズCで1.26億ドルを調達、評価額は35億ドルに。同社にとって2025年2度目の資金調達。
10月の資金調達ハイライト
- オープンソースAIアプリケーション構築プラットフォームFireworks AIがシリーズCで2.5億ドルを調達、評価額は40億ドルに。
- エンタープライズAIスタートアップUniphoreがシリーズFで2.6億ドルを調達、評価額は25億ドルに。
- 音声AI企業SesameがシリーズBで2.5億ドルを調達。
- ケンブリッジ拠点のOpenEvidence(医療AIチャットボット)が2025年2度目の資金調達となるシリーズCで2億ドルを調達、評価額は60億ドルに。
- サイエンススーパーインテリジェンスプラットフォームを目指すLila Sciencesが2025年2度目の資金調達となるシリーズAで3.5億ドルを調達。
- DeepSeek競合のReflection AIがシリーズBで20億ドルを調達、評価額は80億ドルに。同社にとって2025年2度目のメガラウンド。
- パーソナルインジュリー法務AIのEvenUpがシリーズEで1.5億ドルを調達、評価額は20億ドル超に。
9月の資金調達ハイライト
- AIサイエンティストを構築するPeriodic Labsがシードラウンドで3億ドルを調達。
- AIインフラ企業のCerebras SystemsがシリーズGで11億ドルを調達、評価額は81億ドルに。
- Modularが2.5億ドルを調達。
- AIエンタープライズソフトウェアのDistyl AIがシリーズBで1.75億ドルを調達、評価額は18億ドルに。
- AIインフラスタートアップUpscale AIがシードラウンドで1億ドルを調達。
- AI推論企業GroqがシリーズD-3で7.5億ドルを調達、評価額は約69億ドルに。
- AIトレーニングスタートアップInvisible Technologiesが1億ドルを調達、評価額は20億ドルに。
- AIコーディングエージェント「Devin」開発のCognition AIがシリーズCで4億ドルを調達、評価額は102億ドルに。
- AIインフラスタートアップBasetenがシリーズDで1.5億ドルを調達、評価額は21億ドルに。
- Bret Taylor氏の顧客サービスAIエージェントプラットフォームSierraが3.5億ドルを調達、評価額は100億ドル超に。
- パーソナライズAI検索エンジンYou.comがシリーズCで1億ドルを調達、評価額は15億ドルに。
- AI研究機関Anthropicが2025年2度目の資金調達となるシリーズFで130億ドルを調達、評価額は1830億ドルに。
8月の資金調達ハイライト
- ヘルスケア・住宅オートメーションプラットフォームEliseAIがシリーズEで2.5億ドルを調達、評価額は22億ドルに。
- AI研究機関Decartが1億ドルを調達、評価額は31億ドルに。
7月の資金調達ハイライト
- 生成メディアプラットフォームFalがシリーズCで1.25億ドルを調達、評価額は15億ドルに。
- AIヘルスケアオペレーティングシステムを構築するAmbience HealthcareがシリーズCで2.43億ドルを調達。
- AI研究機関Reka AIがシリーズBで1.1億ドルを調達、評価額は10億ドルに。
- AI研究機関Thinking Machines Labがシードラウンドで20億ドルを調達、評価額は120億ドルに。
- ケンブリッジ拠点のOpenEvidence(臨床医向けAI検索ツール)がシリーズBで2.1億ドルを調達、評価額は35億ドルに。
- 数学的推論エンジンを構築するHarmonicがシリーズBで1億ドルを調達、評価額は8.75億ドルに。
6月の資金調達ハイライト
- ヘルスケアAIユニコーンAbridgeがシリーズEで3億ドルを調達、評価額は53億ドルに。同社にとって2025年2度目の資金調達。
- 法務AIツール開発のHarveyが2025年2度目の資金調達となるシリーズEで3億ドルを調達、評価額は50億ドルに。
- ヘルスケアAIスタートアップTennrがシリーズCで1.01億ドルを調達、評価額は6.05億ドルに。
- エンタープライズ検索スタートアップGleanがシリーズFで1.5億ドルを調達、評価額は72.5億ドルに。
- AIコーディングツール「Cursor」開発のAnysphereがシリーズCで9億ドルを調達、評価額は約100億ドルに。
5月の資金調達ハイライト
- AIデータラベリングスタートアップSnorkel AIがシリーズDで1億ドルを調達、評価額は13億ドルに。
- AIモデルのベンチマーキングツールLMArenaがシードラウンドで1億ドルを調達、評価額は6億ドルに。
- ラスベガス拠点のAIインフラ企業TensorWaveがシリーズAで1億ドルを調達。
4月の資金調達ハイライト
- AIモデル企業SandboxAQがシリーズEで4.5億ドルをクローズ、評価額は57億ドルに。
- メディア制作向けAIモデル開発のRunwayがシリーズDで3.08億ドルを調達、評価額は30億ドルに。
3月の資金調達ハイライト
- AI大手OpenAIが記録的な400億ドルを調達、評価額は3000億ドルに。
- AIインフラ企業Nexthop AIがシリーズAで1.1億ドルを調達。
- ケンブリッジ拠点のInsilico Medicine(生成AIを活用した創薬プラットフォーム)がシリーズEで1.1億ドルを調達、評価額は10億ドルに。
- AIインフラ企業Celestial AIがシリーズCで2.5億ドルを調達、評価額は25億ドルに。
- サイエンススーパーインテリジェンスプラットフォームを目指すLila Sciencesがシードラウンドで2億ドルを調達。
- ブルックリン拠点のReflection.Ai(超知能自律システム構築)がシリーズAで1.3億ドルを調達、評価額は5.8億ドルに。
- AIコーディングスタートアップTuringがシリーズEで1.11億ドルを調達、評価額は22億ドルに。
- AI防衛技術スタートアップShield AIがシリーズFで2.4億ドルを調達、評価額は53億ドルに。
- AI研究・大規模言語モデル企業AnthropicがシリーズEで35億ドルを調達、評価額は615億ドルに。
2月の資金調達ハイライト
- オープンソース生成AI・AIモデル開発インフラのTogether AIがシリーズBで3.05億ドルを調達、評価額は33億ドルに。
- AIインフラ企業LambdaがシリーズDで4.8億ドルを調達、評価額は約25億ドルに。
- 患者・臨床医の会話を文字起こしするAIプラットフォームAbridgeがシリーズDで2.5億ドルを調達、評価額は27.5億ドルに。
- AI法務テック企業EudiaがシリーズAで1.05億ドルを調達。
- AIハードウェアスタートアップEnCharge AIがシリーズBで1億ドルを調達。
- AI法務テック企業HarveyがシリーズDで3億ドルを調達、評価額は30億ドルに。
1月の資金調達ハイライト
- 合成音声スタートアップElevenLabsがシリーズCで1.8億ドルを調達、評価額は30億ドル超に。
- ヘルスケア向け大規模言語モデル開発のHippocratic AIがシリーズBで1.41億ドルを調達、評価額は16億ドル超に。
まとめと今後の展望
2025年は、米国AIスタートアップにとって記録的な資金調達の年となりました。1億ドルを超える大型資金調達ラウンドを達成した企業が急増し、特にAIインフラ、ヘルスケアAI、生成メディアなどの分野で大きな動きが見られました。複数回のメガラウンドを達成する企業が目立ったことも、この業界への投資家の強い信頼を示しています。2026年もすでにxAIやMerge Labsといった注目企業が大型資金調達を行うなど、この勢いは続くものと予想され、AI産業の進化はさらに加速していくでしょう。
