Qualcomm、SpotDraftに戦略的投資:オンデバイスAI契約審査で評価額が倍増

QualcommがSpotDraftに戦略的投資、オンデバイスAI契約審査技術を強化

2026年1月26日、Qualcomm Venturesは、契約審査テクノロジーを手掛けるSpotDraftに対し、シリーズBラウンドの延長として800万ドル(約11億円)の戦略的投資を実施したことを発表しました。この投資により、SpotDraftの評価額は昨年2月の1億9,000万ドル(約280億円)から約3億8,000万ドル(約560億円)へとほぼ倍増しました。この資金は、機密性の高い法務ワークフロー向けに、同社のオンデバイスAI契約審査技術を拡大するために活用されます。

プライバシー重視のAI需要が成長を牽引

企業向けAIの分野では、機密データをクラウドに送信することなく動作するプライバシーファーストなソリューションへの需要が高まっています。特に、法務分野などの規制の厳しい業界では、契約書に特権情報、知的財産、価格、取引条件などが含まれるため、データセキュリティとプライバシーへの懸念がクラウドベースの生成AI導入の大きな障壁となっていました。SpotDraftは、このような背景から、コアとなる契約インテリジェンスをユーザーのデバイス上で処理するアーキテクチャを追求しており、今回のQualcommの投資はその戦略が評価された形です。

VerifAIの機能とパフォーマンス

SpotDraftの主力製品である「VerifAI」は、QualcommのSnapdragon X Elite搭載ノートPCでエンドツーエンドのワークフローをデモンストレーションし、契約審査や編集をオフラインで実行しながら、文書をローカルマシンに保持できることを示しました。ログイン、ライセンス認証、コラボレーション機能にはインターネット接続が必要ですが、契約審査、リスクスコアリング、赤線引きは完全にオフラインで実行可能です。VerifAIは、単に要約を生成するだけでなく、法務チームが普段使用するMicrosoft Word内で直接、プレイブックや推奨事項を適用できるように設計されており、契約をガイドラインやポリシーと照合して比較できます。

SpotDraftの共同創業者兼CTOであるMadhav Bhagat氏によると、オンデバイスモデルは出力品質と応答時間の両方でクラウドベースのシステムとの差を急速に縮めています。現在では、最先端のモデルとの評価における差はわずか5%程度であり、新しいチップ上での処理速度はクラウドの3分の1にまで達しているとのことです。

急成長する事業と今後の展望

2017年の創業以来、SpotDraftは700社以上の顧客を獲得し、昨年の400社から大幅に増加しています。顧客は年間100万件以上の契約を処理しており、契約量は前年比173%の成長を記録し、月間アクティブユーザー数は約50,000人に達しています。同社は、2024年に169%の成長、2025年も同様の成長率を記録した後、2026年には前年比100%の収益成長を見込んでいます。

SpotDraftは、今回の新たな資金を製品およびAI機能の深化、そしてアメリカ、EMEA(欧州、中東、アフリカ)、インドにおけるエンタープライズプレゼンスの拡大に充てる計画です。Qualcommの関与は資金提供にとどまらず、オンデバイス展開に向けた共同開発および市場投入の取り組みにも及ぶと共同創業者兼CEOのShashank Bijapur氏は述べています。オンデバイスワークフローは現在一部の顧客に限定されていますが、互換性のあるAI PCハードウェアが広く普及するにつれて、より広範な展開が期待されています。

総括

今回のQualcommによるSpotDraftへの投資は、企業におけるプライバシーとセキュリティを重視したオンデバイスAIソリューションへの強い需要と、その技術が実現する高い実用性を示しています。特に法務分野のような機密性の高い情報を取り扱う業界において、AIが進化し、クラウドからデバイスへと処理が移行するトレンドが今後加速することが予想されます。SpotDraftの技術は、規制業界の企業のデジタルトランスフォーメーションを強力に推進する可能性を秘めており、今後の動向が注目されます。


元記事: https://techcrunch.com/2026/01/26/qualcomm-backs-spotdraft-to-scale-on-device-contract-ai-with-valuation-doubling-toward-400m/