閉鎖された『Anthem』、コミュニティ主導で復活の兆し — 難航するFrostbiteエンジンの解読

『Anthem』サーバー閉鎖とコミュニティの動き

2026年1月12日、Electronic Arts(EA)はBiowareが開発したオンラインマルチプレイヤーゲーム『Anthem』の公式サーバーを閉鎖しました。これにより、2019年のリリース以来、幾多の問題を抱えながらも多くのプレイヤーに愛されてきたこのゲームは、プレイ不可能となっていました。しかし、この突然の終焉に異を唱えるコミュニティが立ち上がり、ゲームを再びプレイできるようにするための活動を開始しています。

復活プロジェクト「The Fort’s Forge」の始動

『Anthem』の復活を目指すコミュニティプロジェクトは、「The Fort’s Forge」というDiscordサーバーを中心に活動しています。このグループは、EAとBiowareへの不満から、サーバー閉鎖が発表された昨年7月に結成されました。プロジェクトの管理責任者であるローリー氏によると、彼らはEAのFrostbiteエンジンに精通した開発者やエンジニアを募り、ゲームのリバースエンジニアリングに取り組んでいます。

最近公開された概念実証(プルーフ・オブ・コンセプト)ビデオでは、ゲームが部分的にローディングされている様子が示され、コミュニティ内で大きな期待が寄せられています。しかし、ローリー氏はこのビデオが初期段階のものであることを強調し、過度な期待をしないよう呼びかけています。

Frostbiteエンジンが立ちはだかる技術的障壁

「The Fort’s Forge」チームは、『Anthem』の動作に不可欠な3つの主要サービスを特定しました。

  • EAのBlazeサーバー:基本的なプレイヤー認証に使用。
  • Biowareオンラインサービス(BIGS):プレイヤーのインベントリやクエスト進行状況などを追跡するJSONウェブサーバー。
  • Frostbiteマルチプレイヤーエンジン:レベルデータをロードし、プレイヤーやNPCのリアルタイム位置を追跡。

BlazeサーバーとBIGSの初期エミュレーションは進展を見せており、概念実証ビデオの成功に貢献しました。しかし、最大の障壁となっているのは、Frostbiteエンジン独自のクライアント-サーバーアーキテクチャです。このエンジンでは、シングルプレイヤーゲームであっても「サーバー」コンテキストでゲームプレイが実行されるため、『Anthem』はレベルをロードする際にBiowareのサーバーに保存されたオンラインデータに強く依存しています。

Ness199X氏(プロジェクトの主要なFrostbite開発者の一人)は、「ゲームのロビーエリアであるフォート・タルシスはオフラインデータを使って実行されており、他のレベルも同様の方法で動作させられる可能性がある」と指摘しています。しかし、他のFrostbiteゲームとの予期せぬ違い(例えば、NPCが特定のマップでスポーンしないなど)が、データロードの試みを複雑にしています。

今後の展望と課題

Ness199X氏は、Frostbiteエンジンの完全な解読に成功する可能性を約75%と見積もっており、成功すれば数ヶ月以内にはプレイ可能なバージョンが復活するかもしれないと語っています。しかし、もしFrostbiteの解読が行き詰まった場合、必要な作業量は指数関数的に増加し、プロジェクトのモチベーション維持が困難になる可能性も示唆しています。

開発チームは現在、具体的なコードベースの構築を進めており、準備が整い次第、新たな開発者の参加を検討しています。一方で、ローリー氏はコミュニティに対し、頻繁な進捗報告を期待しないよう、そして初期の概念実証ビデオが今後の進捗速度の基準ではないことを繰り返し伝えています。復活への道のりは長く険しいものですが、熱意あるコミュニティの努力が、閉鎖された『Anthem』に新たな生命を吹き込む可能性を秘めています。


元記事: https://arstechnica.com/gaming/2026/01/why-reviving-the-shuttered-anthem-is-turning-out-tougher-than-expected/