NASA、アルテミスII有人月周回ミッションを3月へ延期 – 水素漏れ問題が再発

アルテミスII、水素漏れ問題で3月まで打ち上げ延期

NASAの月有人探査計画「アルテミスII」ミッションの打ち上げが、早くとも3月まで延期されることが発表されました。この決定は、2月に行われた燃料充填テスト(ウェット・ドレス・リハーサル、WDR)中に、ロケットと発射台の接続部で水素漏れが検出されたことによるものです。この遅延は、2022年に無人アルテミスIの打ち上げを数ヶ月遅らせたのと同様の技術的課題が再発したことによるものです。

繰り返される水素漏れの課題と燃料技術の難しさ

ケネディ宇宙センターで行われたWDRは、打ち上げ前に問題を特定し修正することを目的としていましたが、ロケットのコアステージに極低温燃料を充填する際に水素漏れが発生しました。この漏れは、アルテミスIの打ち上げキャンペーン時にも確認されたのと同じ箇所で発生しています。

液体水素はロケット燃料として非常に効率的である一方、極めて扱いの難しい物質です。マイナス253℃という極低温で貯蔵する必要があり、この温度はシール材やその他の軟質部品の形状やサイズを変化させ、漏れの経路を作り出す可能性があります。さらに、水素分子は宇宙で最も小さく軽い分子であり、わずかな隙間からでも漏れ出す特性を持っています。

NASAは、少量の水素漏れは許容範囲内としていますが、今回のテストでは安全限界である4%の濃度を複数回超えたことが報告されています。

徹底した検証と安全最優先の姿勢

テスト中、技術者たちは水素の流れを停止し、インターフェースを温めてシールを再配置するなどの問題解決を試みました。しかし、最終的にカウントダウンは打ち上げ33秒前ではなく、5分15秒前に「液体水素漏れ率の急増」のため停止されました。これにより、ロケットが内部電源に切り替わり、推進剤タンクが完全に加圧されるといった重要なマイルストーンを達成できませんでした。

NASAは、今回のテストで得られたデータを詳細に分析し、すべての問題を解決してから次の打ち上げ日を設定する方針です。NASA長官のジャレッド・アイザックマン氏は、「私たちの最優先事項は常に安全です。乗員、作業員、システム、そして一般市民の安全のため、準備が整ったと確信したときにのみ打ち上げを行います」と強調しています。

宇宙飛行士のリード・ワイズマン、ビクター・グローバー、クリスティーナ・コック、ジェレミー・ハンセンは、1月21日から行われていた医療隔離から解除され、訓練を再開し、新たな打ち上げ日を待つことになります。

有人月周回ミッションへの期待と挑戦

アルテミスIIミッションは、1972年以来53年ぶりに宇宙飛行士を月へ送り込む初の有人月周回飛行であり、人類を月の南極に着陸させる将来の探査への道を開く重要な一歩となります。今回の遅延は技術的課題を示していますが、これは安全性を確保し、人類の宇宙探査の成功を確実にするための、厳格なテストプロセスの一部であると言えるでしょう。


元記事: https://arstechnica.com/space/2026/02/unable-to-tame-hydrogen-leaks-nasa-delays-launch-of-artemis-ii-until-march/