導入:Stellantis、EV戦略の現実を直視し巨額費用計上
自動車大手のStellantisは、電気自動車(EV)への戦略を「リセット」したと発表しました。これにより、同社は**262億ドル(約3.9兆円、222億ユーロ)**に上る巨額の費用を計上することになります。これは、EVの急速な普及に対する過度な期待が現実と乖離した結果であり、自動車業界全体におけるEVシフトのペースの再評価を示唆しています。
EV市場の現実と米国政策転換の影響
かつてはEVの採用が急速に進むと楽観視されていましたが、特に米国においてはその流れに変化が見られます。2024年の選挙で共和党が勝利したことにより、EV購入へのインセンティブや充電インフラへの大規模な投資計画が撤回され、厳しい将来の排ガス規制も破棄されました。この政策転換は、自動車メーカーに対し、燃料効率の悪いガソリンエンジン車の生産を続けることを容認するメッセージとして受け取られています。
他社の動向とStellantisの具体的な損失内訳
EV戦略の見直しによる巨額損失はStellantisに限ったことではありません。昨年12月にはFordが195億ドルの減損を発表し、GMも1月初めにEV計画の一部中止により60億ドルの費用がかかることを明らかにしています。Stellantisは、これら競合他社と比較してもEV化戦略で遅れをとっていたとされています。
Stellantisが計上した費用の主な内訳は以下の通りです。
- 中止されたEV関連製品の開発費用:**34億ドル(29億ユーロ)**
- 今後十分な償却が見込めないプラットフォーム関連費用:**71億ドル(60億ユーロ)**
- 既存契約に基づく今後4年間の現金支出:**68億ドル(58億ユーロ)**
- バッテリー需要の減少に伴うサプライチェーンの再編費用:**25億ドル(21億ユーロ)**
- 欧州における人員削減費用:**15億ドル(13億ユーロ)**
- 継続的な保証問題に関連する費用:**48億ドル(41億ユーロ)**
StellantisのCEOであるアントニオ・フィローサ氏は、今回の費用計上について「エネルギー転換のペースを過大評価し、多くの自動車購入者の実際のニーズ、手段、要望から乖離した結果である」とコメントしています。また、過去の運用上の不備も影響していると認めました。
今後の戦略:伝統的なモデルへの回帰と米国への投資
今後、Stellantisは米国に**130億ドル**を投資し、トラックやSUVの生産を強化することで**5,000人**の雇用を創出する計画です。この戦略の一環として、Ram 1500ピックアップトラックの新しい**V8バージョン**や、ガソリンエンジンを搭載したDodge Charger、いくつかのJeepモデルが市場に投入される予定です。これは、同社が当面の間、伝統的な燃料車への需要に応える方針へと舵を切ったことを示しています。
