OpenAI、AIエージェント開発・展開を支援する「AgentKit」を発表

OpenAIが「AgentKit」を発表:AIエージェント開発を加速

2025年10月6日、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、同社のDev Dayイベントにおいて、AIエージェントの構築と展開を支援する新しいツールキット「AgentKit」の発表を行いました。AgentKitは、AIエージェントをプロトタイプ段階から本番環境へとスムーズに移行させるための包括的なビルディングブロックを提供し、開発プロセスにおける摩擦を大幅に軽減することを目指しています。

AgentKitの目的と市場への影響

アルトマン氏は、「AgentKitは、AIプラットフォームで利用可能なビルディングブロックの完全なセットであり、エージェントをプロトタイプから本番環境に移行させるのに役立つように設計されています。エージェントのワークフローを構築、展開、最適化するために必要なすべてが、はるかに少ない摩擦で実現できます」と述べました。

この発表は、開発者の採用を増やし、エージェント構築をより迅速かつ容易にすることで、OpenAIがAIエージェント市場での競争力を高めるための重要な動きと見られています。他のAIプラットフォームが自律型エージェント構築のための統合ツールを提供しようと競い合う中、AgentKitは企業が複雑なタスクを実行できるAIエージェントを導入する上での課題を解決する可能性を秘めています。

AgentKitの主要機能

AgentKitには、以下の主要な機能が含まれています。

  • Agent Builder: アルトマン氏が「エージェント構築のためのCanva」と表現したこの機能は、エージェントのロジック、ステップ、アイデアを視覚的に素早く設計できるツールです。既存のResponses API上に構築されています。
  • ChatKit: 開発者が自身のアプリケーションにチャット体験を組み込むための、シンプルで埋め込み可能なチャットインターフェースを提供します。
  • Evals for Agents: AIエージェントのパフォーマンスを測定するためのツール群です。これには、ステップバイステップのトレース評価、個々のエージェントコンポーネントを評価するためのデータセット、自動プロンプト最適化、そしてOpenAIプラットフォームから直接外部モデルに対する評価を実行する機能が含まれます。
  • Connector Registry: 開発者がエージェントを内部ツールやサードパーティシステムに安全に接続するためのアクセスを提供します。これは「管理コントロールパネル」を通じて行われ、セキュリティと制御を維持しながら統合を可能にします。

セキュリティと制御への注力

特に注目すべきは、Connector Registryの導入です。AIエージェントが企業の内部システムや機密データにアクセスする際、セキュリティとアクセス制御は最も重要な懸念事項となります。AgentKitのConnector Registryは、この課題に対処するために設計されており、開発者がエージェントの接続を厳格に管理し、セキュリティポリシーを適用できる「管理コントロールパネル」を提供します。これにより、企業はAIエージェントの導入において、データ漏洩や不正アクセスなどのリスクを最小限に抑えつつ、その恩恵を最大限に享受できるようになります。

ライブデモンストレーションと今後の展望

OpenAIのエンジニアであるクリスティーナ・ファン氏は、ステージ上でわずか8分足らずでAIワークフローと2つのAIエージェントを構築するライブデモンストレーションを行い、AgentKitの使いやすさを実証しました。アルトマン氏は、「これは、私たちが最初のエージェントを構築しようとしたときに欲しかったすべてのものです」とコメントし、すでに複数のローンチパートナーがAgentKitを使用してエージェントをスケールアップしていることを明らかにしました。

AgentKitの登場は、AIエージェントの普及を加速させ、企業がより高度な自動化とインテリジェンスを業務に組み込むための新たな道を開くものと期待されます。特に、セキュリティと制御を重視した設計は、エンタープライズ分野での採用を大きく後押しするでしょう。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/06/openai-launches-agentkit-to-help-developers-build-and-ship-ai-agents/