テスラ「サイバートラック」販売不振:安全性への懸念と市場の動向

テスラ「サイバートラック」販売不振の現状

テスラの革新的な電気ピックアップトラック、サイバートラックの販売が深刻な不振に陥っています。2025年第3四半期の販売台数はわずか5,385台に留まり、2024年同期の14,000台以上と比較して63%の大幅な減少を記録しました。本年度の累計販売台数は16,000台強で、イーロン・マスク氏がかつて予測した年間25万台という目標とはかけ離れた状況です。現在の予測では、2025年の年間出荷台数は約20,000台と、2024年の推定50,000台から大幅に下方修正されています。

このデータはKelley Blue Bookが発表し、Business Insiderが報じたものです。テスラはサイバートラックの販売台数を個別に公表しておらず、モデルSおよびモデルXと合わせて「その他のモデル」として報告しています。

EV市場全体の活況とサイバートラックの逆行

サイバートラックの苦戦とは対照的に、EV市場全体は好調です。2025年第3四半期には合計438,487台のEVが販売され、前期比で40.7%、前年同期比で29.6%増加しました。この販売急増の背景には、9月30日に期限切れとなる7,500ドルの連邦EV税額控除を駆け込みで利用しようとする消費者の動きがありました。この控除の終了に伴い、第4四半期にはEV販売が大幅に落ち込むと予想されており、サイバートラックの状況はさらに悪化する可能性があります。

競合他社との明暗:安全性への重大な懸念も浮上

他の電動ピックアップトラックは、サイバートラックほど苦戦していません。第3四半期の前年同期比では、以下の通り好調な伸びを見せています。

  • Rivian R1T:13%増
  • Ford F-150 Lightning:39.7%増
  • GMC Hummer EV:21.9%増
  • Sierra EV:771%以上の大幅増

さらに、サイバートラックを巡っては、安全性に関する重大な懸念が浮上しています。火災を伴うサイバートラックの衝突事故で死亡した2人の若者の遺族が、欠陥のあるドアハンドルが脱出を妨げたとしてテスラを提訴しました。これは、単なる販売不振に留まらない、製品の根本的な安全性に関わる問題として注目されています。

イーロン・マスク氏による異例の対応

事態の深刻さを示すかのように、イーロン・マスク氏自身が未販売のサイバートラックを自身の所有する企業、SpaceXとxAIに納入しているとElectrekが報じています。SpaceXに納入されるトラックは、同社の内燃機関車フリートを置き換える目的があるとのことです。この異例の対応は、サイバートラックの販売状況がいかに厳しいかを物語っています。


元記事: https://www.theverge.com/news/798889/tesla-cybertruck-sales-decrease-q3-2025