Apple、M5チップで主要製品を大幅強化
Appleは2025年10月15日、最新のM5チップを発表し、これに合わせてiPad Pro、MacBook Pro、Vision Proの各製品を刷新しました。これらの新デバイスはすでに予約注文が可能で、10月22日には出荷および店頭販売が開始される予定です。M5チップは、前世代のチップと比較して大幅な性能向上を実現しており、特にAI処理能力の飛躍的な進化が注目されます。
M5チップの革新とセキュリティへの潜在的影響
Appleのハードウェア技術担当シニアバイスプレジデントであるジョニー・スルージ氏は、M5チップが「AppleシリコンにおけるAI性能の次なる大きな飛躍を告げるもの」と述べています。このチップは、M4と比較してピークGPU演算性能が4倍以上に向上しており、これによりデバイス上での複雑な処理がより高速かつ効率的に行えるようになります。セキュリティの観点からは、このAI処理能力の向上は、以下のような分野で重要な役割を果たす可能性があります。
- オンデバイスセキュリティの強化: より高度な顔認証や生体認証、異常検知、プライバシー保護AI機能などが、デバイス上でより高速かつ安全に実行される可能性。
- データ処理の高速化と保護: 高速なストレージ読み書き速度と相まって、機密データの処理や暗号化がより迅速に行われ、ユーザーデータの保護が強化されることが期待されます。
新iPad Proの進化と接続性の強化
新しいiPad Proは、M5チップの恩恵を最も受けるデバイスの一つです。Appleは、昨年のProモデルと比較して最大3.5倍のAI性能向上、M1搭載iPad Proと比較して最大5.6倍の高速化を実現したと謳っています。さらに、接続性においても重要なアップグレードが行われています。
- C1Xセルラーモデム: 最大50%高速なセルラーデータ通信を提供し、より安全で安定したモバイル接続を可能にします。
- N1チップ: Wi-Fi、Bluetooth、Thread接続を強化し、スマートホームデバイスとの連携やセキュアなワイヤレス通信をサポートします。
また、ストレージの読み書き速度の向上や、約30分で最大50%の充電が可能な高速充電にも対応。iPadOS 26では、より直感的なウィンドウ表示、Previewアプリ、フォルダ作成機能が追加され、iPadがよりノートPCに近い体験を提供します。価格は11インチモデルが999ドルから、13インチモデルが1,299ドルからです。
MacBook ProとVision Proの性能向上
M5チップは、14インチMacBook ProとVision Proにも搭載され、それぞれのデバイスに大幅な性能向上をもたらします。
- 14インチMacBook Pro: グラフィックス性能が最大1.6倍向上し、メモリ帯域幅はM4の120Gbpsから153Gbpsに増加。ストレージ速度も改善され、最大24時間のバッテリー駆動時間を実現します。価格は1,599ドルからです。
- Vision Pro: 現在のM2チップからM5チップへのアップグレードにより、ディスプレイレンダリングが10%向上し、リフレッシュレートは最大120Hz(従来は100Hz)をサポート。AIを活用した機能は50%高速化され、バッテリー駆動時間も30分延長され、一般的な使用で最大2.5時間、ビデオ再生で3時間となります。デュアルニットバンドが付属し、価格は3,499ドルで据え置きです。
これらの性能向上は、特にVision Proのような没入型デバイスにおいて、よりスムーズでセキュアなユーザー体験を提供するために不可欠です。
まとめ
Appleの新しいM5チップは、iPad Pro、MacBook Pro、Vision Proの各製品に前例のないAI処理能力と全体的な性能向上をもたらします。これらの進化は、単なる速度向上に留まらず、オンデバイスでのセキュリティ機能の強化、より高速で安全なデータ処理、そして次世代のユーザー体験の基盤を築くものとして、セキュリティニュースの観点からも注目に値します。特にAI性能の飛躍は、将来的なプライバシー保護技術や脅威検知システムの進化に大きく寄与する可能性を秘めています。