Waymo、DoorDashとの提携で自動運転デリバリーを再開
Alphabet傘下の自動運転技術企業Waymoは、DoorDashとの複数年にわたる戦略的提携を通じて、自動運転デリバリー分野に再び参入します。この動きは、Waymoの主要なテスト拠点であるフェニックス大都市圏で展開され、同社がロボタクシー事業に注力するため2023年に閉鎖した自動運転トラック部門「Waymo Via」以来のデリバリー事業への本格的な回帰となります。
過去にはUPSやUber Eatsとのパイロットプログラムも実施していましたが、今回のDoorDashとの提携は、Waymoにとって唯一の現行デリバリー関連の取り組みとなります。初期段階では、DoorDashのコンビニエンスストア、食料品、小売店であるDashMartからの注文が対象となり、将来的にはフェニックスのより多くの地元店舗や幅広い商品へと拡大される予定です。
デリバリーの仕組みと新たな課題
このサービスでは、DoorDashの顧客がフェニックスの315平方マイルのエリア内で注文を行うと、自動運転のWaymo車両(ドライバーレスのJaguar I-Pace)が商品を届けます。商品は車両のトランクに積載され、顧客はDoorDashアプリを通じてトランクを開け、自分で商品を受け取る仕組みです。
この「最終ステップ」は、両社にとって重要なテストとなります。顧客が車両まで歩いて商品を受け取るというプロセスが、人間が玄関先まで届けてくれる従来のデリバリーの利便性を上回るかどうか、また、顧客が車両から商品を受け取る際のセキュリティ確保が主要な課題となるでしょう。
自動運転デリバリーにおけるセキュリティの考慮事項
自動運転車両が公共空間でデリバリーを行うにあたり、いくつかの重要なセキュリティ側面が浮上します。
- 物理的な商品セキュリティ:トランクに積載された商品が、顧客による受け取り時や、万が一の車両停止時などに、盗難や改ざんの標的とならないかが懸念されます。
- 車両のサイバーセキュリティ:自動運転車両自体がサイバー攻撃の対象となるリスクは常に存在します。車両の遠隔操作、システムへの不正アクセス、顧客データの漏洩などが考えられます。
- データプライバシー:顧客の注文履歴、配送先住所、位置情報などの機密データがWaymoとDoorDash間でどのように共有され、厳重に保護されるかが重要です。
- 運用上のセキュリティ:Waymoが車両を正確な顧客に届け、不正な人物によるトランクへのアクセスを防ぐための認証メカニズムや監視体制が求められます。
DoorDashの自動運転技術への取り組み
DoorDashも自動運転技術分野では経験があります。ロサンゼルスの一部地域では歩道デリバリーロボット企業Serve Roboticsと提携しており、また、自社で開発した自動デリバリーボット「Dot」をフェニックス地域でテストしています。しかし、今回のWaymoとの提携では、DoorDashのDot車両は使用されず、Waymoの自動運転車両がデリバリーを担います。
元記事: https://techcrunch.com/2025/10/16/waymo-dips-its-wheels-back-into-delivery-this-time-with-doordash/