OpenAIに続きMicrosoftもAIブラウザを発表:プライバシーと競争の行方

Microsoft Edgeに「Copilotモード」登場

Microsoftは、AIアシスタントの新機能として、ブラウザに直接AIを組み込む野心的なプロジェクトを発表しました。これは、同社のEdgeブラウザに搭載される「Copilotモード」であり、OpenAIが「Atlas」を発表したわずか2日後の出来事です。

Microsoft AIのCEOであるムスタファ・スレイマン氏は、この新製品を「動的でインテリジェントなコンパニオンであるAIブラウザ」と表現しています。ユーザーの許可を得て、Copilotは開いているタブを認識し、情報を要約・比較し、ホテルの予約やフォームへの入力といった操作まで実行できるとされています。

OpenAI「Atlas」との類似性

Microsoftの発表は、OpenAIが新しい「Atlas」ブラウザを披露した直後に行われました。両社の製品開発スケジュールは数週間、あるいは数ヶ月前から組まれていたものですが、その視覚的な類似性は無視できません。

記事では、両製品のデモ画面が非常に似ていることを指摘し、Copilotが「新しいタブ」で機能するのに対し、Atlasが「分割画面」を使用する点を除けば、「ほぼ同じ製品」であると述べています。この類似性は、クリーンなブラウザを好むユーザーのニーズと、チャットボットウィンドウを「新しいタブ」画面に統合する方法の限界に起因すると分析されています。

AIブラウザがもたらすプライバシーとセキュリティの課題

AIブラウザの登場は、ユーザー体験を大きく変える可能性を秘めていますが、同時にプライバシーとセキュリティに関する重要な問いを投げかけます。Copilotが「開いているタブを認識し、情報を推論する」能力は、ユーザーの閲覧履歴や個人情報へのアクセスを意味します。

AIがフォームへの自動入力を行う際、機密情報がどのように扱われるのか、また、そのデータがどこに保存され、誰がアクセスできるのかといった点について、透明性と強固なセキュリティ対策が不可欠となります。AI競争が激化する中で、利便性と引き換えにユーザーのデータがどのように保護されるかが、今後の重要な焦点となるでしょう。

激化するAI競争の行方

わずか1週間のうちに、主要なAI企業からほぼ同一のAIブラウザが発表されたことは、AI開発競争の激しさを物語っています。この競争は、技術革新を加速させる一方で、倫理的配慮や規制の必要性を浮き彫りにしています。

最終的にユーザーにとっての主な違いは、基盤となるAIモデルの性能になるでしょう。しかし、この「AIブラウザ」という新たなカテゴリが、インターネットの利用方法、そして私たちのデジタルプライバシーにどのような影響を与えるのか、今後の動向が注目されます。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/23/two-days-after-openais-atlas-microsoft-launches-a-nearly-identical-ai-browser/