AIコンテンツ制作のWonder Studios、1200万ドルを調達
ロンドンを拠点とするAIクリエイティブスタジオWonder Studiosは、エンターテイメント業界へのAI生成コンテンツ導入を加速するため、シードファンディングで1200万ドル(約18億円)を調達しました。この資金調達ラウンドはAtomicoが主導し、既存投資家であるLocalGlobeとBlackbirdも参加。ElevenLabs、Google DeepMind、OpenAIの幹部もプレシード投資家として名を連ねています。
資金調達の目的と今後の展開
Wonder Studiosは、調達した資金をエンジニアリングチームの倍増と、知的財産(IP)の所有権獲得およびオリジナルコンテンツ制作の推進に充てる計画です。同社は最近、DeepMind、YouTube、Universal Music Groupと共同で、ルイス・キャパルディのAIミュージックビデオ「Something in the Heavens」を制作しました。また、初のオリジナル作品としてアンソロジーシリーズ「Beyond the Loop」も発表しています。来年には、Netflixドキュメンタリー「The Menendez Brothers」などを手掛けたCampfire Studiosとの共同ドキュメンタリーを含む、複数の商業およびオリジナルプロジェクトの公開を予定しています。
AIと著作権:エンターテイメント業界の課題
今回の資金調達は、ハリウッドのプロデューサーがAI企業に対し、著作権で保護されたコンテンツをモデルの学習に無断で使用したり、著作権のあるキャラクターを含む出力を生成したりしているとして法的措置を取る動きが活発化する中で行われました。例えば、DisneyとUniversal Studiosは、中国企業のMiniMaxやAI画像生成ツールMidjourneyを提訴しています。
AIはエンターテイメント業界において依然として意見が分かれる問題であり、アーティストたちは、自身の作品が無断で学習されたLLM(大規模言語モデル)を搭載したツールが、彼らの生計を脅かす可能性を懸念しています。特に、OpenAIのSora 2は、俳優の肖像を無断で複製したとして批判を浴びています。
Wonder Studiosのアプローチと業界への影響
このような状況の中、Wonder Studiosは自らを「国境なきハリウッド」と位置づけ、AIストーリーテリングツールをすべてのクリエイターが利用できるようにすることを目指しています。同社のアプリは、クリエイターコミュニティとキャリア機会、コラボレーター、リソースを結びつけるハブとして機能するとされています。共同創設者兼最高商業責任者のジャスティン・ハックニー氏は、「今後10年間で、AI時代の創造性がどのようなものになるかが決まるでしょう。私たちの使命は、この未来がストーリーテラーのものであることを確実にすることです」と述べています。