AI教育の新たな波：Super TeacherがDisrupt 2025に登場
小学校向けAIチューターを開発する「Super Teacher AI」が、TechCrunch Disrupt 2025にStartup Battlefield Top 20ファイナリストとして登場し、大きな注目を集めています。同社は、高価な個別指導がもたらす教育格差を解消し、より多くの子どもたちに質の高い学習機会を提供することを目指しています。
元Googleプロダクトマネージャーであり教育者でもある創設者のティム・ノビコフ氏は、個別指導が子どもの教育向上に最も効果的な手段であるにもかかわらず、その費用が多くの家庭にとって大きな負担となっている現状を変えたいと考えています。
高まる教育格差への挑戦
2023年の調査によると、米国の主要学区で個別指導を受けている生徒は10%未満に過ぎません。ノビコフ氏は、ハーレムと名門スタインベサント高校での教師経験から、個別指導の有無が教育経験に顕著な差をもたらすことを痛感しました。彼は「個別指導は、子どもたちに提供できる最も効果的な教育的介入であり、それに匹敵するものはありません。誰もがこの機会を得られないのは非常に不公平です」と語り、個別指導へのアクセスを民主化するという使命を追求しています。
Super Teacherは、月額15ドル、年間プランでは月額10ドルという手頃な価格でAIチューターアプリを提供することで、この課題に取り組んでいます。
信頼性と正確性を追求したAI技術
Super Teacherのアプリは、アニメーション化されたチューターとAI生成音声を通じて、生徒をインタラクティブなレッスンへと導きます。生徒は音声でアプリと会話することができ、まるで実際の教師と話しているかのような体験が可能です。
しかし、多くの教育テクノロジーツールとは異なり、Super Teacherは大規模言語モデル（LLM）を応答生成に利用していません。その代わりに、コンテンツは常に正しい回答を提供するように設計された決定論的システムから提供されます。これにより、LLMにありがちな不正確さや誤情報の問題を回避し、教育コンテンツの信頼性と正確性を確保しています。ノビコフ氏は、AIチューターはスマートボードや電卓のような「ツール」であり、学校現場で教師に取って代わるものではないと強調しています。
広がる導入と今後の展望
設立4年目を迎えるSuper Teacherは、すでに約2万家族が登録しており、ニューヨーク、ニュージャージー、ハワイの公立学校でもアプリが導入されています。ノビコフ氏が小学校の生徒に特化したのは、自身の子供たちを助けたいという思いと、この年齢層をターゲットにした教育テクノロジー企業が少ないためです。
今後は、対象学年を拡大し、全米のより多くの学区と提携することを目指しています。ノビコフ氏は、2015年にGoogleに買収されたモバイル動画編集アプリ「Fly Labs」の創設者でもあります。