FCC、DJIドローン禁止を強化する権限を獲得

FCC、国家安全保障上のリスク企業製品の遡及的禁止権限を確立

米国連邦通信委員会(FCC)は、国家安全保障上のリスクがあると見なされる企業のガジェットや無線部品について、過去に承認された製品であっても遡及的に禁止する権限を自らに付与する投票を3対0で可決しました。これは、中国製通信機器のバックドアから米国ネットワークを保護するための抜け穴を塞ぐ措置とされています。

この決定は、トランプ政権が中国製家電製品、特にドローンメーカーDJIの製品をブロックする新たな手段を提供する可能性があります。米国政府はDJI製品が脅威であるという公的な証拠をまだ発表していませんが、この動きはDJIに大きな影響を与えるでしょう。

DJI製品、12月23日以降の輸入禁止へ

わずか2ヶ月後の12月23日には、新たなDJI製品の米国への輸入が自動的に禁止されることになります。これは、DJIが「安全で信頼できる通信ネットワーク法」に基づき「対象リスト(Covered List)」に追加されるためです。このリストに掲載された企業は、FCCがその内部無線機器の米国での使用を承認することを禁じられるため、製品の輸入販売が違法となります。

DJIのグローバル政策責任者であるアダム・ウェルシュ氏は、「10ヶ月以上が経過したが、プロセスが開始された兆候はない」と述べ、米国政府に対し、義務付けられた審査を開始するか、公正で証拠に基づいたプロセスを確保するための延長を認めるよう求めています。

遡及的禁止の3つの重要なニュアンス

以前、DJIは最悪の事態でも遡及的な禁止はないと考えていましたが、今回の決定により状況は変わりました。ただし、以下の3つの重要なニュアンスがあります。

  • 政府は、既存のDJI機器をユーザーから取り上げることは要求しないと明言しています。
  • 禁止は製品ごとにケースバイケースで適用されます。
  • 政府が製品を遡及的に禁止するたびに、国民が意見を表明する機会が与えられます

FCCの60ページにわたる「ファクトシート」には、「現在、メーカーに消費者の手にある機器の交換を要求していない」と明記されており、「すでにユーザーの手にある機器の継続的な使用は引き続き許可される」とされています。

代わりに、FCCは各製品について「公益分析」を実施し、その際に国家安全保障上のリスクに「特に重きを置く」必要があります。その後、FCCは「最低30日間のパブリックコメントの機会を提供しなければならない」とされています。

セキュリティ懸念とDJIの「中国軍事企業」指定

DJIが他の空撮カメラ販売企業よりも大きなセキュリティリスクをもたらすという明確な証拠は少ないものの、中国政府と関連のある企業が理論的に画像を送信する可能性について懸念を抱く人もいます。DJIは現在、国防総省が同社を「中国軍事企業」と呼び続けることを許可した判決に対して控訴中です。

DJIは、潜在的な禁止を回避するために多数のシェルカンパニーを設立していると報じられています。例えば、SkyroverドローンやXtraカメラがDJI製品の偽装である可能性が指摘されています。DJIウォッチャーのコンラッド・イトゥルベ氏は、DJIのドローンが使用する独自のOcuSync送信機の周波数をFCC記録でスキャンすることで、これらの「DJIフロント企業」を特定しています。

抜け穴対策:設計・製造に関与した製品も対象に

FCCの新たな命令は、これらの偽装された(または合法的にライセンスされた)DJI製品にも対処することを可能にします。これは、DJIの無線送信機を含む製品、またはDJIがその部品の設計や製造に関与した製品も禁止の対象となるためです。

FCC文書によると、「デバイスがそのエンティティによって設計、製造、組み立て、または開発された場合、一般的にそのエンティティによって製造されたと見なされる」とされています。これにより、DJIが製品を輸入しようとしても、OcuSyncの独自の無線署名がそれを困難にする可能性があります。

優れた人気のあるOsmo Pocket 3のように、通常のWi-FiやBluetoothを使用するカメラであっても、禁止の対象外とはなりません。セキュリティ機関が12月23日の期限までに介入しない限り、DJIは無線送信機を使用するすべての新製品の輸入を停止しなければならなくなります。


元記事: https://www.theverge.com/report/808104/fcc-order-retroactive-ban-transmitter-national-security