Bending Spoonsとは?そのビジネスモデル
ミラノを拠点とするテックコングロマリット、Bending Spoonsは、そのユニークなビジネスモデルで注目を集めています。同社は、業績不振ながらも人気のあるテクノロジーブランドを買収し、数百万人のユーザーにより効率的なサービスを提供できるよう変革することに焦点を当てています。しかし、その変革はしばしば大規模な人員削減や、EvernoteやWeTransferのケースのように、愛された製品への物議を醸す変更を伴うことがあります。
Bending Spoonsは、従来のプライベートエクイティ企業や純粋な金融投資会社とは異なり、「永遠に保有すること」を目指しており、買収した事業を売却したことは一度もありません。彼らは、製品のユーザーエクスペリエンス、機能、基盤となるテクノロジー、収益化戦略(価格設定を含む)、そしてチーム組織に至るまで、徹底的な改善を行います。
共同創設者の億万長者入りと資金調達
2025年10月末、Bending Spoonsの4人の共同創設者全員が億万長者の仲間入りを果たしました。CEOのLuca Ferrari氏の株式は14億ドル、共同創設者のMatteo Danieli氏、Luca Querella氏、Francesco Patarnello氏のそれぞれが13億ドルの価値があると報じられています。
これは、T. Rowe PriceやBaillie Giffordなどの投資家から2億7,000万ドルを調達した最新の資金調達ラウンドと、既存株主による4億4,000万ドルの二次株式売却に続くものです。同社は現在、ヨーロッパで数少ないデカコーン(評価額100億ドル以上)の一つであり、2024年には28億ドルの評価額で資金調達を行っています。テニス界のスターであるAndre Agassi氏や俳優のBradley Cooper氏、そしてThe Weeknd氏などの著名人も投資家として名を連ねています。新たな資金は、将来の買収と独自のテクノロジーおよびAI機能への投資に充てられる予定です。
主要な買収と影響
Bending Spoonsは、2014年以降、数多くの企業を買収してきました。特に近年では、以下のような注目すべき買収が行われています。
- 2022年:AI写真補正アプリのRemini、ビデオ・写真編集アプリのFilmic(2023年12月に全従業員を解雇)
- 2022年後半~2023年初頭:メモアプリのEvernote(買収後に人員削減と無料プランの縮小を実施)
- 2024年前半:Meetup、アプリメーカーのMosaic Group、HopinのStreamYard
- 2024年7月:出版プラットフォームのIssuu、ファイル転送サービスのWeTransfer(後に人員削減と無料プランの変更を実施)
- 2024年後半:ビデオプラットフォームのBrightcove(2億3,300万ドルの全額現金取引)
- 2025年:アウトドアルートプランナーのKomoot、管理ソフトウェアメーカーのHarvest
- 2025年:Vimeo(13億8,000万ドルの全額現金取引)、そして最近ではAOLをYahooから買収
これらの買収は、Bending Spoonsが「停滞しているか、所有者が撤退を望んでいる」人気製品をターゲットにしていることを示しています。買収後には、製品のユーザー体験、機能、収益化戦略、そして組織体制に大きな変更が加えられることが一般的です。
今後の展望
Bending Spoonsは、今後も消費者向けおよび企業向けのデジタル製品ポートフォリオを拡大するための新たな買収を追求する意向です。AOLとVimeoの買収は、これまでのターゲットよりもはるかに高い知名度を持つブランドであり、同社の成長戦略における重要な一歩となります。特にAOLは、800万人のデイリーアクティブユーザーと3,000万人の月間アクティブユーザーを抱える、世界トップ10のメールプロバイダーの一つです。
同社は、継続的な買収を支えるため、様々な役割で人材を募集しており、2025年にはすでに60万件以上の応募があったと報告されています。候補者には「要求の厳しい環境」であると警告しているものの、その成長と影響力は今後も拡大していくと見られています。
元記事: https://techcrunch.com/2025/10/31/what-is-bending-spoons-everything-to-know-about-aols-acquirer/
