匿名質問アプリSendit、子供の欺瞞と違法なデータ収集でFTCから告発

はじめに

米連邦取引委員会(FTC)は、若年層に人気の匿名質問アプリ「Sendit」に対し、子供のデータを違法に収集し、ユーザーを欺いたとして訴状を提出しました。この告発は、Senditがユーザー、特に未成年者に対して行ったとされる複数の欺瞞的行為と、データプライバシー規制への違反に焦点を当てています。

FTCによる主な告発内容

FTCの訴状によると、Senditは主に以下の点でユーザーを欺き、違法行為を行っていたとされています。

  • 子供のデータ違法収集: 13歳未満のユーザーから親の同意なしにデータを収集し、児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)に違反。
  • メッセージ送信者の偽装: ユーザーに匿名メッセージの送信者について虚偽の情報を提供。
  • 欺瞞的な課金誘導: ユーザーを騙して、実際には週ごとの定期購入である「Diamond Membership」を1回限りの費用であるかのように見せかけて購入させた。
  • 偽の挑発的なメッセージ: 「私と付き合ってくれる?」「ドラッグをやったことがある?」といった偽の挑発的なメッセージをSendit自身が送信し、ユーザーに送信者の特定を促した。

子供のデータ収集とCOPPA違反

FTCは、Senditが13歳未満のユーザーから親の同意なしにデータを意図的に収集していたことを特に問題視しています。2022年には、116,000人以上のユーザーが13歳未満であると報告したにもかかわらず、Senditの親会社であるIconic Heartsは、このデータ収集について保護者に通知せず、許可も求めなかったとされています。これは、子供のオンラインプライバシーを保護するための重要な法律であるCOPPAに明確に違反する行為です。

欺瞞的なビジネス慣行

Senditは、ユーザーが匿名メッセージの送信者を知りたい場合、9.99ドルの「Diamond Membership」の購入を促していました。しかし、FTCは、これが週ごとの定期購入であり、1回限りの費用ではないことが明確に示されていなかったと主張しています。さらに、ユーザーが「送信者」を特定しようとしても、実際にはSendit自身が送信した偽のメッセージであった場合、誤った情報が提供されていました。

過去には、SenditがInstagram向けアプリを「Sendit Reveal」として宣伝し、匿名メッセージの送信者を「明らかにする」と謳ってダウンロードを促していたこともTechCrunchの報道で指摘されています。

過去の経緯と業界の動向

Senditのような匿名質問アプリは、YOLOやLMKといった先行アプリが子供の自殺を巡る訴訟により2021年にSnapchatから停止された後、急速に人気を集めました。Senditは、これらのアプリが利用できなくなった後、350万ダウンロードを記録しました。しかし、TechCrunchの調査では、SenditやLMKのような新しい匿名質問アプリも、偽のメッセージでユーザーを誤解させ、アプリ内課金を促していることが判明していました。

Senditの創設者であるHunter Rice氏は、TechCrunchがこれらの「ダークパターン」について質問した際、「我々が行っていることには、ニュースになるような素晴らしい点がたくさんある」と述べ、批判を退けていました。また、Senditは2022年に競合アプリNGLを提訴し、偽の匿名質問のアイデアやその他の企業秘密を盗用したと主張しました。NGLはその後、TechCrunchの報道を受けて、同様の慣行を中止せざるを得なくなりました。

結論

今回のFTCによる告発は、匿名質問アプリが抱えるプライバシーと倫理的な問題、特に未成年ユーザーの保護の重要性を改めて浮き彫りにしています。ユーザーを欺き、違法にデータを収集する行為は、厳しく取り締まられるべきであり、アプリ開発者にはより高い透明性と責任が求められます。


元記事: https://techcrunch.com/2025/09/30/anonymous-question-app-sendit-deceived-children-and-illegally-collected-their-data-ftc-alleges/


元記事: https://techcrunch.com/2025/09/30/anonymous-question-app-sendit-deceived-children-and-illegally-collected-their-data-ftc-alleges/