Pinterest、オープンソースAIで「驚異的な性能とコスト削減」を実現

はじめに:PinterestがオープンソースAIを推進

画像共有サービスPinterestのビル・レディCEOは、火曜日の決算説明会で、オープンソースAIモデルの可能性を強調しました。同社は、ビジュアルAIの利用範囲を拡大する中で、コストを抑えつつ「驚異的な性能」を実現できると述べています。

Pinterestは、ユーザーのショッピングジャーニーの出発点となることが多く、パーソナライズされたレコメンデーション、テキストと画像を組み合わせたマルチモーダル検索、広告ターゲティング、そして最近ローンチされたAI搭載のPinterest Assistantなど、多岐にわたる機能でAI技術を活用しています。

AI戦略とオープンソースモデルの採用

投資家からは、急速に変化するAIランドスケープにおけるエージェント型コマース(ユーザーに代わって自律的に行動するAIシステム)の機会、およびそれが収益と成長に与える影響について質問が寄せられました。同社は第3四半期の決算発表で、予想よりも弱いホリデーショッピングシーズンを予測しており、株価は一時21%以上下落しました。

このような短期的な収益懸念にもかかわらず、レディCEOは、AIとLLM(大規模言語モデル)の利用を最大化しつつ、コストを劇的に増加させない方法に言及しました。同社は既存の独自モデルに加え、市販の主要モデルとオープンソースオプションを定期的に比較テストしており、オープンソースモデルが非常に有望であることを発見したと語っています。

レディCEOは、「特にPinterestのビジュアルAIのユースケースにおいて、オープンソースモデルから驚異的な性能を得ています」と述べました。さらに、「現在の市場レートとトークンあたりのコストを考慮すると、初期テストでは、ファインチューニングされたオープンソースモデルを使用することで、主要な既製プロプライエタリモデルと比較して、桁違いのコスト削減同等の性能が見られます」と説明しました。同社は、様々なユースケースで多くのオープンソースモデルを導入する計画であり、これにより「大規模モデルプロバイダーのごく一部のコスト」で運用できると見込んでいます。

エージェント型コマースとPinterestの差別化

レディCEOは、エージェント型ショッピングを含む、PinterestがAIをどのように活用できるかについても言及しました。同社はすでにAmazonとの提携を通じて「プッシュボタン型購入」を提供しており、AIが「ユーザーに代わってボタンを押す」ことをユーザーが本当に望むかどうかを見極める方針です。

その一方で、レディCEOは、Pinterestの最大の差別化要因は、ユーザーをショッピング体験全体にわたってガイドすることであると示唆しました。これは、ユーザーのボード、コラージュ、保存内容、および同様の趣味を持つ人々との比較に基づいてユーザーを理解するAIコンパニオン「Pinterest Assistant」によってさらに改善されることが期待されています。また、Pinterestは、専門家によるキュレーションとAIを組み合わせた、パーソナライズされたボードも展開しています。

業界への影響と展望

PinterestがオープンソースAIモデルの採用を拡大する決定は、テクノロジー業界全体、特にAI開発と導入のコスト構造に大きな影響を与える可能性があります。コスト効率と高性能を両立させるオープンソースAIの活用は、他の企業にとっても魅力的な選択肢となり、AI技術の民主化をさらに加速させるかもしれません。この戦略は、同社が競争の激しい市場で持続的な成長を遂げるための重要な一歩となるでしょう。


元記事: https://techcrunch.com/2025/11/05/pinterest-ceo-touts-open-source-ai-tremendous-performance-with-reduced-costs/