AI議事録アプリ「Granola」が「リピータブルプロンプト」機能を追加、データセキュリティへの考慮点

AI議事録アプリ「Granola」が新機能「レシピ」を導入

AIを活用した議事録作成アプリ「Granola」が、ユーザーが繰り返し利用できるプロンプト機能「レシピ」を発表しました。これは、ChatGPTやPoeのようなチャットボットプラットフォームが提供するGPTsやアプリ、あるいはDiaやOpera Neonといったブラウザが提供するスキルやカードに似た機能で、特定のタスクを効率的に実行するためのショートカットとして機能します。

Granolaの共同創業者であるクリス・ペドレガル氏は、ユーザーが議事録をChatGPTやClaudeにコピーして質問する手間を省き、Granolaの完全なコンテキスト内でカスタムプロンプトを実行できるようにすることが目的だと述べています。

「レシピ」機能の概要と利用方法

「レシピ」は、Granolaチャット内で「/」を入力し、その後にレシピ名を入力することで呼び出すことができます。ユーザーは、特定の会議のコンテキスト、または複数の会議にわたるコンテキストに基づいて独自のレシピを作成し、プロンプトを定義することが可能です。また、効果的なレシピ作成のためのガイドも提供されており、作成したレシピは他のユーザーと共有することもできます。

Granolaは、既存のレシピライブラリも提供しており、これらは「会議前」「会議中」「会議後」の3つのカテゴリに分類されています。現時点では、アプリと会議がこれらのリピータブルプロンプトの主要なコンテキストですが、将来的には他のサービスとの連携を通じてコンテキストを拡張し、より多くのデータをレシピに供給する計画があるとのことです。

データプライバシーとセキュリティへの潜在的影響

AIが会議の議事録を処理し、それを基にプロンプトを実行する機能は、業務効率を大幅に向上させる一方で、データプライバシーとセキュリティに関する重要な考慮事項を提起します。特に、レシピが「複数の会議にわたるコンテキスト」で機能し、将来的には「他のサービスとの連携」が計画されている点は注目に値します。

  • 機密情報の取り扱い: 会議の議事録には、企業の機密情報や個人情報が含まれる可能性があります。AIがこれらの情報を処理し、プロンプトを通じて利用する際、データの漏洩や不正利用のリスクがないか、厳格なセキュリティ対策が求められます。
  • プロンプトの共有と管理: レシピが共有可能であることは便利ですが、共有されるプロンプトに意図せず機密情報が含まれていないか、また共有範囲が適切に管理されているかを確認する必要があります。
  • 外部サービス連携のリスク: 他のサービスとの連携は、データフローの複雑さを増し、新たなセキュリティ脆弱性を生み出す可能性があります。連携先のセキュリティレベルやデータ保護ポリシーがGranolaと同等であるか、慎重な評価が必要です。

GranolaのようなAIツールが普及するにつれて、ユーザーは利便性と引き換えに、自身のデータがどのように扱われ、保護されているかについて、より一層の注意を払う必要があります。

競合他社との比較と今後の展望

Granola以外にも、Fireflies、Fathom、CirclebackといったAI議事録ツールがテンプレートやプロンプトベースのインサイト生成機能を提供していますが、その多くは会議終了後に機能します。Granolaの「レシピ」は、会議の前後、そして会議中にリアルタイムでプロンプトを実行できる点で差別化を図っています。

今後、Granolaが他のサービスとの連携を深めることで、その機能はさらに強力になるでしょう。しかし、その進化は同時に、データセキュリティとプライバシー保護の観点から、より厳格な監視と対策が求められることを意味します。


元記事: https://techcrunch.com/2025/09/30/ai-note-taking-app-granola-adds-a-repeatable-prompts-feature/