はじめに:期待作『GTA VI』を巡るセキュリティの影
『Grand Theft Auto VI』(GTA VI)は、長年の期待を集める大作ですが、その開発過程は度重なる情報漏洩やセキュリティ関連の論争によって影を落としています。本記事では、これまでに報じられたセキュリティ上の課題と、それが開発に与える影響について詳述します。
2022年の大規模情報漏洩:開発初期映像が流出
2022年9月、『GTA VI』は大規模な情報漏洩に見舞われました。ハッカーは開発中のゲームプレイ映像90本を含む3GBもの機密データをオンラインに投稿。Rockstar Gamesは、この件について「不正な第三者がシステムにアクセスし、機密情報や開発初期の映像をダウンロードした」と公式に認めました。この漏洩は、開発チームに大きな衝撃を与え、ゲーム業界全体にセキュリティの重要性を再認識させる出来事となりました。
予告編の早期公開を余儀なくされた情報流出
2023年12月には、公式発表を目前に控えていた初の公式予告編がX(旧Twitter)に流出するという事態が発生しました。これによりRockstar Gamesは、予定よりも早く予告編を公開せざるを得なくなりました。これは、内部からの情報管理の難しさを示す一例と言えるでしょう。
セキュリティ強化のためのオフィス回帰(RTO)
過去のデータ侵害への対応として、Rockstar Gamesは2024年1月、従業員に対し週5日のオフィス勤務(RTO)を義務付けると発表しました。同社は、この措置の主な理由として「セキュリティと生産性」を挙げており、特に「ハッカーが『GTA VI』の初期映像を漏洩させた大規模なデータ侵害」が背景にあることを示唆しました。
最新の論争:従業員解雇と情報漏洩の疑惑
そして最近、2025年10月末には、Rockstar Gamesが数十人の従業員を解雇したことが報じられました。今週に入り、同社は解雇の理由を「公の場で機密情報を配布・議論していた」ためと説明しましたが、これに対し独立労働者組合(IWGB)は、解雇された従業員の多くが組合員または組合結成を試みていた者であるとし、これを「ゲーム業界史上最も露骨で冷酷な組合潰し行為」であると強く非難しています。この一連の出来事は、情報セキュリティと従業員の権利、そして企業倫理の間の複雑な問題を浮き彫りにしています。
まとめ
『GTA VI』のリリースは2026年11月19日に再延期されましたが、その開発は情報漏洩、セキュリティ対策、そして従業員との関係という、多岐にわたる課題に直面しています。これらの問題が最終的にゲームの品質やRockstar Gamesの企業イメージにどのような影響を与えるか、今後の動向が注目されます。
元記事: https://www.theverge.com/23987993/gta-6-news-trailers-rockstar-games
