AIコーディングスタートアップLovable、800万ユーザーに迫る成長の裏で浮上するセキュリティ課題

Lovableの急成長とユーザー拡大

AIコーディングプラットフォームのLovableが、創業からわずか1年でユーザー数800万人に迫る勢いを見せています。CEOのAnton Osika氏によると、毎日10万件もの新規プロダクトがLovable上で構築されており、その成長は目覚ましいものがあります。これまでに総額2億2800万ドルの資金を調達し、企業評価額は18億ドルに達しています。同社は、コードを書けない99%の人々をターゲットとし、Fortune 500企業の半数以上が「創造性を高める」ためにLovableを利用していると報告されています。

「Vibe Coding」の波と市場の動向

「Vibe Coding」ブームの持続可能性については、市場で疑問の声も上がっています。Barclaysの調査およびGoogle Trendsのデータによると、Lovableを含む一部のサービスへのトラフィックは、今年初めのピーク以降、減少傾向にあり、Lovableのトラフィックは9月時点で40%減少したとされています。しかし、Osika氏は、ユーザーの支出が時間とともに増加する100%超のネットドルリテンションを強調し、リテンションは依然として強いと主張しています。同社は従業員数も100名を超え、サンフランシスコからリーダーシップ人材を招聘し、組織体制を強化しています。

セキュリティへの挑戦とLovableの対応

急速な成長を遂げる一方で、Vibe Coding分野におけるセキュリティ問題は喫緊の課題として浮上しています。最近では、Vibe Codingツールで構築されたアプリから、7万2000枚の画像(GPSデータやユーザーIDを含む)が流出するインシデントが発生しました。Osika氏はこの問題を認識しており、Lovableではセキュリティエンジニアの採用を加速していると述べています。彼の目標は、「人間が手書きしたコードよりも安全な構築環境」を提供することです。現在、Lovableはデプロイ前に複数のセキュリティチェックを実行していますが、銀行アプリのような機密性の高いアプリケーションを構築するユーザーに対しては、従来通りセキュリティ専門家の雇用を推奨しています。

創業者Osika氏のビジョンと企業文化

Lovableは、Osika氏が開発し、開発者の間で話題となったオープンソースツール「GPT Engineer」から生まれました。Osika氏は、ユーザーがアイデアを素早くプロトタイプ化し、リソースを投入する前に早期ユーザーとテストできる「Demo, don’t memo」という文化を推進しています。彼は、Lovableのミッションを「最後のソフトウェア」を構築すること、すなわち、プロダクト組織が必要とするすべてをシンプルなインターフェースで実現できるプラットフォームと位置付けています。また、Osika氏はシリコンバレーの「ハッスル文化」とは一線を画し、欧州のワークカルチャーを重視。チームメンバーがミッションドリブンであり、効率的かつチームとして成功することに焦点を当てていると語っています。


元記事: https://techcrunch.com/2025/11/10/lovable-says-its-nearing-8-million-users-as-the-year-old-ai-coding-startup-eyes-more-corporate-employees/