Chromeセキュリティアップデート、V8 JavaScriptエンジンの不適切な実装を修正

はじめに

Googleは、ChromeブラウザのV8 JavaScriptエンジンにおける深刻な脆弱性に対処する新しい安定版アップデートをリリースしました。このアップデートは、Windows、Mac、Linux向けに順次展開されます。

脆弱性の詳細:CVE-2025-13042

今回のアップデートで修正されたのは、高 severity の脆弱性「CVE-2025-13042」です。この脆弱性は、V8エンジンの不適切な実装に起因し、攻撃者がメモリ処理を悪用して予期せぬ動作やクラッシュを引き起こす可能性がありました。

  • CVE ID: CVE-2025-13042
  • 深刻度: 高 (High)
  • 影響を受けるコンポーネント: V8 JavaScript Engine
  • 説明: V8エンジンにおける不適切な実装により、攻撃者がメモリ処理を悪用し、予期せぬ動作やクラッシュを引き起こす可能性がありました。

V8 JavaScriptエンジンは、WebアプリケーションのJavaScript実行を担うChromeの重要なコンポーネントです。V8に脆弱性が存在すると、攻撃者はクラッシュを引き起こしたり、セキュリティ保護を回避したり、特定の条件下で任意のコードを実行したりする可能性があります。

脆弱性の発見とGoogleの対応

この問題は、2025年11月3日に「303f06e3」というハンドル名を使用する外部研究者によって報告されました。Googleは、修正が広く適用される前に攻撃者がリバースエンジニアリングを行うことを防ぐため、バグの技術的な詳細へのアクセスを制限しています。また、Googleは、責任ある報告を行った貢献者に対し、Chrome脆弱性報奨金プログラムを通じて謝意を表し、報奨金を授与しています。

Googleのセキュリティ強化策

Chromeチームは、多くのセキュリティ問題が、AddressSanitizer、MemorySanitizer、UndefinedBehaviorSanitizer、Control Flow Integrity、libFuzzer、AFLといった自動テストおよびファジングツールを通じて発見されていることを強調しています。これらのシステムは、攻撃者が悪用する前にメモリエラーや未定義の動作、その他のプログラミング上の欠陥を特定するように設計されています。

ユーザーへの推奨事項

Chromeの自動更新機能により、セキュリティパッチは手動での介入なしにデバイスに適用されます。しかし、専門家は、アップデートが迅速に適用されるよう、定期的にブラウザを再起動することを推奨しています。ユーザーは、「設定」→「ヘルプ」→「Google Chromeについて」に移動することで、Chromeのバージョンを確認し、新しいバージョンが利用可能であれば更新をトリガーできます。

今回のアップデートバージョンは以下の通りです。

  • Windows: 142.0.7444.162/.163
  • Mac: 142.0.7444.162
  • Linux: 142.0.7444.162

元記事: https://gbhackers.com/chrome-security-update-fixes-improper-implementation/