GustoがGuidelineを6億ドルで買収か、競合他社関連顧客の売却計画にセキュリティ上の懸念

買収の概要

給与計算および人事ソフトウェア企業であるGustoは、中小企業向け退職金制度を提供するスタートアップGuidelineの買収に合意したと発表しました。この買収は、Gustoが2015年以来Guidelineと提携して401(k)退職金制度を提供してきた背景から、両社の関係をさらに深めるものとなります。

買収価格とGuidelineの状況

買収条件は非公開ですが、情報筋によるとGustoは約6億ドルを支払ったとされています。しかし、Guidelineの広報担当者はこの価格が「不正確」であると述べており、詳細は明らかにされていません。Guidelineは2021年に11.5億ドルと評価されており、今回の買収価格はそれよりも低い水準です。Guidelineは過去1年以上黒字経営を続けており、今年1月時点での年間経常収益(ARR)は1億4,000万ドルに達していました。

顧客口座の売却計画とセキュリティへの懸念

今回の買収で最も注目すべき点は、Gustoが競合他社の給与計算プロバイダー(ADP、Intuit、Paylocity、TriNet、Ripplingなど)を通じてGuidelineの退職金制度を利用している顧客口座を売却する計画があるという情報です。複数の情報筋がこの計画を指摘しており、売却益はGustoとGuidelineの株主間で分配される見込みです。

しかし、Guidelineの広報担当者は、顧客との関係を解消する計画はないと否定しています。このような顧客口座の売却は、機密性の高い個人情報や財務データの取り扱いに関して、重大なセキュリティおよびプライバシー上の懸念を引き起こす可能性があります。顧客データの移管プロセスにおけるデータ漏洩のリスクや、顧客が自身の情報がどのように扱われるかについて透明性を欠く状況は、セキュリティニュースとして特に強調すべき点です。

  • データ移管の安全性: 顧客データが第三者に売却される場合、その移管プロセスが厳格なセキュリティ基準に準拠しているかどうかが重要です。
  • プライバシーポリシーの変更: 顧客は、自身のデータが新たなエンティティによってどのように管理されるかについて、明確な情報提供を受けるべきです。
  • 信頼性の問題: 顧客が自身の退職金口座が意図せず別のプロバイダーに移行されることに直面した場合、企業への信頼が損なわれる可能性があります。

業界の競争と今後の展望

Guidelineは黒字経営であるものの、SoftBankが支援するHuman Interestなど、激しい競争に直面しています。Human Interestは昨年70%成長し、年内には黒字化する見込みです。今回の買収とそれに伴う顧客口座の再編は、中小企業向け退職金制度市場における競争環境をさらに複雑にする可能性があります。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/01/sources-gusto-paid-600m-to-acquire-guideline-plans-to-divest-customers-linked-to-rivals/