Emmが「スマート月経カップ」で900万ドルを調達、データセキュリティで女性の健康に革新

Emmが「スマート月経カップ」で900万ドルを調達

英国を拠点とする新興企業Emmは、世界初の「スマート月経カップ」の開発と市場投入に向け、900万ドル(約13.5億円)のシード資金を調達したことを発表しました。この資金は、来年の正式ローンチと継続的な研究開発に充当されます。

画期的なスマート月経カップの技術

Emmのスマート月経カップは、従来の月経カップと同様に経血を貯留する設計ですが、医療グレードのシリコンに超薄型センサー技術が組み込まれている点が特徴です。このセンサーが月経周期に関する詳細なデータを収集し、ユーザーが自身のパターンや健康状態をより深く理解するのに役立ちます。

創設者のジェニー・ボタン氏は、OuraリングやWhoopバンドが提供する一般的な身体データに対し、生殖器系の健康に関するデータが不足していることに気づき、この画期的な製品を着想しました。

女性の健康におけるデータ活用の可能性

ボタン氏は、この技術が月経および生殖器系の健康状態の研究、診断、治療を大きく変革する可能性を秘めていると強調しています。月経血は、循環血からは得られない貴重な洞察を提供し、子宮内膜症のような診断が困難でしばしば誤診される医療状態の早期発見に繋がる可能性が指摘されています。

「今日の女性の10人に1人が子宮内膜症に苦しんでおり、その診断には平均して7年から10年かかると言われています」とボタン氏は述べ、正確なデータが不足している現状を指摘しました。

プライバシーとデータセキュリティへの徹底した配慮

健康データを扱うデバイスとして、Emmはユーザーのプライバシーとデータセキュリティに最大限の注意を払っています。Emmアプリを通じて収集されるデータは、暗号化され、安全に保管されます。さらに、二段階認証が採用されており、データは常に匿名化または仮名化されるため、個人を特定できる情報は削除またはコードに置き換えられます。

ボタン氏によると、データにアクセスできるのは「真に必要とするEmmの担当者のみ」であり、ユーザーの機密情報が厳重に保護されることが保証されています。これは、特にデリケートな健康情報を扱う製品にとって、セキュリティニュースとして非常に重要なポイントです。

今後の展開とビジョン

今回の資金調達ラウンドはLunar Venturesが主導し、Ouraへの投資実績を持つAlumni Ventures、The Labcorp Venture Fund、BlueLion Globalなども参加しています。Emmは来年、英国市場で製品を発売する予定で、すでに3万人以上の先行予約を記録しています。2027年初頭には米国市場への参入も視野に入れています。

ボタン氏は、「月経の健康はEmmにとっての出発点に過ぎない」と述べ、将来的には診断、デジタルケアツール、さらには治療法へと製品を拡大し、女性の健康全体に広範な影響を与えることを目指しています。「私たちの使命は、診断を加速させ、人々が自らを擁護するためのデータを提供し、最終的に彼らが自身の体と健康の旅をコントロールできるよう支援することです」と彼女は語りました。


元記事: https://techcrunch.com/2025/11/18/emm-raises-9m-seed-to-create-to-launch-one-of-the-worlds-first-smart-menstrual-cups/