信用リスク自動化のKaajが380万ドルのシード資金を調達
信用リスク自動化プラットフォームを提供するKaajが、Kindred VenturesおよびBetter Tomorrow Venturesから380万ドル(約5.7億円)のシード資金調達を発表しました。共同創業者であるShivi Sharma氏とUtsav Shah氏夫妻は、長年の経験から、少額ローンの信用リスク分析が非効率的で時間のかかるプロセスであり、中小企業が必要な資金にアクセスできない現状を目の当たりにしてきました。
Kaajが解決する課題
従来の融資プロセスでは、中小企業からの融資申請書類(財務諸表、銀行明細、納税申告書など)の検証とシステムへの入力に数日を要していました。この手作業による負荷が、特に少額融資の採算性を悪化させていたのです。Kaajは、この数日かかっていた信用分析プロセスを数分にまで短縮することを目指しています。
AIを活用した信用評価とセキュリティ
KaajのプラットフォームはAIを活用し、融資申請に必要な情報を自動で識別、分類、検証、そして既存の融資実行システム(LOS)に整理します。特に注目すべきは、アンダーライターの不正防止チームのために、「書類の改ざん」をチェックする機能も搭載している点です。これにより、信用評価プロセスにおけるセキュリティと信頼性が大幅に向上します。SalesforceやHubSpotなどの既存の顧客関係管理(CRM)システムとも統合し、企業が融資基準を満たしているかどうかも示します。
経済的効果と市場での差別化
KaajのCEOであるShah氏によると、同社のソリューションを導入することで、月に500件の申請を処理していたチームが、同じ人員で20,000件の申請を処理できるようになるといいます。これにより、少額融資の経済的採算性が向上し、より多くの中小企業が銀行からの融資を受けやすくなります。競合他社にはMiddesk、Ocrolus、MoneyThumbなどがありますが、Sharma氏はKaajが信用分析プロセス全体を自動化することで差別化を図ると述べています。これは、人間のチームを模倣する「エージェント型AIワークフロー」によって実現されます。
今後の展望
今回調達した資金は、製品開発の加速と、独立系および中小企業向け融資機関への事業拡大に充てられます。Kaajは、AIエージェント機能の強化、モジュール提供の拡大、そして顧客基盤のスケールアップに注力していく方針です。Shah氏とSharma氏は、Kaajが信用分析の「科学」を自動化することで、人間のアンダーライターが「取引成立の芸術」と主観的な評価という、彼らの真の競争優位性に集中できる未来を創造し、中小企業融資に革命をもたらすことを期待しています。
