はじめに:ロシアの「防弾ホスティング」企業への制裁
米国、オーストラリア、英国の3カ国は、ランサムウェアグループやその他のサイバー犯罪者に「防弾ホスティング」サービスを提供していたロシア企業に対し、共同で制裁を科しました。この動きは、サイバー犯罪と闘う国際社会の強いコミットメントを示すものです。
主要企業Media Landとその活動詳細
制裁の対象となったのは、サンクトペテルブルクに拠点を置くロシアのホスティング企業 **Media Land** です。同社は、**LockBit** や **BlackSuit** といった著名なランサムウェアオペレーターにインフラを提供してきたとされています。さらに、米国の重要インフラ企業やその他の事業体に対する分散型サービス拒否(DDoS)攻撃にも関与していたことが判明しています。
今回の制裁は、Media Land本体に加え、その総支配人、財務マネージャー、決済担当者、さらには2つの子会社および技術インフラを共有する関連会社にも適用されます。
Aeza Groupと制裁回避の試み
米国と英国は、既に7月1日に制裁対象となっていた別の防弾ホスティングプロバイダー、**Aeza Group** に対しても財政的圧力を強化しました。Aeza Groupは制裁を回避するため、英国を拠点とする新しいフロント企業 **Hypercore** を利用して運営を継続しようとしており、Hypercoreも制裁対象となりました。また、Aezaの新しいディレクター、別の従業員、そしてセルビアとウズベキスタンに拠点を置く2つの姉妹会社も今回の制裁リストに加えられています。
当局の声明と今後の対策
テロおよび金融情報担当財務次官のジョン・ハーレー氏は、「防弾ホスティング企業は、米国および同盟国の企業を攻撃するサイバー犯罪者に不可欠なサービスを提供している」と述べ、その重要性を強調しました。また、「今日のオーストラリア、英国との三者共同行動は、サイバー犯罪と闘い、市民を保護するという我々の集団的コミットメントを示すものである」と付け加えました。
これに関連し、米国のサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は、インターネットサービスプロバイダーおよびネットワーク防御担当者向けに、防弾ホスティングサービスを利用したサイバー攻撃を軽減するためのガイダンスを発表し、業界全体の防御力向上を促しています。
