Bluesky、モデレーション強化と透明性向上を発表
分散型ソーシャルネットワークのBlueskyは、モデレーションプロセスを大幅に改善し、違反追跡とポリシー実施の透明性を高める新たなアップデートを発表しました。今回の変更は、アプリの最新バージョン(v.1.110)とともにロールアウトされ、利用者がより安全で健全なコミュニティ環境を享受できるようにすることを目的としています。
同社は、急成長するプラットフォームにおいて「人々の間の明確な基準と期待」が必要であると説明。特に、X(旧Twitter)のような既存のソーシャルメディアが直面する毒性の問題を避け、多様なコミュニティが安心して交流できる場を提供することを目指しています。
新たな報告カテゴリと「ストライク」システムの導入
今回のアップデートでは、ユーザーからの報告オプションが6種類から9種類に拡大されました。これにより、ユーザーは問題をより正確に報告できるようになり、モデレーターは重要な報告に迅速に対応することが可能になります。追加された報告カテゴリには、以下のような内容が含まれます:
- 若年者への嫌がらせまたはいじめ(Youth Harassment or Bullying)
- 摂食障害(Eating Disorders)
- 人身売買(Human Trafficking)
これらの追加は、英国のオンライン安全法など、未成年者をオンラインで保護するための新たな法律や規制への対応を強化するものです。Blueskyはまた、違反と執行措置を自動的に追跡するための内部ツールを改善し、一貫性と透明性を確保するとしています。
また、「ストライク」システムにも変更が加えられました。今後は、コンテンツの深刻度に応じて評価が行われ、例えば「重大なリスク(critical risk)」と分類されたコンテンツは永久的なアカウント停止につながる可能性があります。違反が累積した場合も、一時的な停止ではなく永久停止のリスクが生じます。
違反者に対しては、どのようなコミュニティガイドラインに違反したか、その深刻度、累積された違反数、次のアカウントレベル措置までの情報、そして停止期間とその終了日が通知されるようになります。また、これらの執行措置に対しては異議申し立て(appeal)が可能であることも明記されました。
法規制への対応とプラットフォームの課題
今回の変更は、Blueskyが10月に更新したコミュニティガイドラインに続くものであり、プラットフォームのモデレーションと執行をより積極的に行う姿勢を示しています。これは、ユーザー保護を義務付ける多くの新たな法律や規制に対応する必要があるためでもあります。例えば、Blueskyは今年初めにミシシッピ州の年齢確認法に対応できないとして、同州でのサービスをブロックしています。
一方で、プラットフォームのモデレーション方針を巡っては、過去に物議を醸した事例もあります。ジョニー・キャッシュの歌詞を引用した作家のサラ・ケンジアー氏が、表現が暴力的であると解釈され一時停止処分を受けた件や、トランスジェンダー問題に関する書き込みで批判されているユーザーのアカウント維持を巡る論争などが挙げられます。Blueskyは、特定の政治的立場に偏らない「多くの異なるコミュニティがネットワークを構築し、繁栄できる家」を目指していますが、言論の自由と安全なプラットフォーム運営とのバランスは依然として大きな課題となっています。
