Better Tomorrow Ventures、新たなファンドで1.4億ドルを調達
フィンテック分野に特化したベンチャーキャピタルであるBetter Tomorrow Ventures (BTV) は、第3号ファンドで1億4,000万ドルの資金調達を完了したと発表しました。共同創業者兼ゼネラルパートナーのSheel Mohnot氏は、フィンテックへの投資魅力が失われたという見方に対し、「金融の世界は巨大であり、世界GDPの約20%を占める金融サービスは、いまだ十分にデジタル化されていません」と述べ、この分野への強い自信を示しています。
NerdWalletの共同創業者であるJake Gibson氏と共にBTVを率いるMohnot氏は、「大規模なデジタル化の機会はまだこれからです」と語り、多くの金融取引が依然として手作業で行われている現状を変革することを目指しています。
フィンテック市場の現状とBTVの戦略
今回の1.4億ドルのファンドは、2022年初頭のゼロ金利政策(ZIRP)ブーム終盤に発表された第2号ファンドの1.5億ドルにほぼ匹敵します。Mohnot氏によると、当初はファンド規模を縮小する計画だったとのことです。「2021年には物事が過熱しすぎました。投資したすべての企業がすぐに高値で追加資金を調達しましたが、それはおそらく良くなかった」と振り返ります。
現在、フィンテックへの熱狂が落ち着いたことで、BTVは有望なスタートアップへの投資を継続するために、以前ほど多額の資本を必要としなくなったと説明しています。第3号ファンドでは、30〜35社の企業に投資する予定で、1社あたりの出資額は50万ドルから350万ドルとなる見込みです。
AIが牽引する金融サービスの変革とセキュリティへの影響
BTVは、特にAIが金融サービスにもたらす変革に大きな機会を見出しています。Mohnot氏は、「会計士が大幅に不足しており、会計事務所はビジネスを断っている状況です。これはAIにとって完璧な応用分野です」と指摘しています。
BTVは既に以下の会計スタートアップ3社を支援しています。
- Basis:最近Khosla Venturesが主導する3,400万ドルのシリーズAラウンドを調達。
- Layer:中小企業向けの組み込み会計プラットフォーム。
- InScope:監査済み財務諸表の作成を自動化するスタートアップ。
会計分野にとどまらず、Mohnot氏はAIの金融サービスにおける広範な応用を強く信じています。「金融サービスは非常に労働集約的です。引受、コンプライアンス、不正検出、顧客サポートなど、AIはこれらすべてをより低コストで実行できます」と述べ、特に不正検出やコンプライアンスといったセキュリティ関連の領域におけるAIの重要性を強調しています。これは、金融システムの安全性と効率性を同時に向上させる可能性を秘めています。
注目すべきポートフォリオ企業
BTVのポートフォリオには、他にも注目すべき企業が含まれています。
- Coast:フリートおよびトラック運転手向けの決済プラットフォーム。
- Unit:サービスとしてのバンキング(BaaS)を提供するスタートアップで、直近の評価額は12億ドル。
- Relay:中小企業向けのオンラインバンキングおよびキャッシュマネジメントプラットフォーム。
これらの企業は、金融サービスのデジタル化と効率化を推進し、より安全でアクセスしやすい金融環境の構築に貢献しています。
元記事: https://techcrunch.com/2025/10/01/better-tomorrow-ventures-closes-140m-remains-bullish-on-fintech/