SpaceXの新型Starship V3、テスト中に爆発 – 月・火星ミッションの安全性に影響か

Starship V3のテスト中に発生した爆発事故の概要

2025年11月21日未明、SpaceXが開発中の次世代ロケット「Starship」のアップグレード版である「Starship V3」が、テキサス州のStarbase施設で試験中に爆発事故を起こしました。この事故は、ロケットにエンジンがまだ搭載されていない非常に初期の段階で発生し、ブースターの側面が大きく吹き飛ぶという、これまでのSpaceXの爆発とは異なる様相を呈していました。

SpaceXは過去にもロケット開発過程で複数の爆発事故を経験していますが、今回はV3の初となる主要なハードウェアテスト中に発生したため、その影響が注目されています。

SpaceXの野心的な計画とStarship V3の役割

Starship V3は、SpaceXが計画する月および火星への人類到達ミッションにおいて、極めて重要な役割を担うとされています。この新型ロケットは、より大型で強力、そして高い信頼性を備え、軌道上で他のStarshipとドッキングする能力を持つことを目指しています。これは、月への有人飛行や火星探査における燃料補給戦略の鍵となる機能です。先行するV2デザインは10月に飛行を完了したばかりでした。

ミッション安全性と開発スケジュールの懸念

今回の爆発事故に対し、SpaceXおよびイーロン・マスク氏からの公式なコメントはまだありません。しかし、この事故がStarshipの開発スケジュールに大きな遅延をもたらす可能性があり、SpaceXが目指す2026年の集中的なテストプログラム、特に軌道上での燃料転送実証に影響を及ぼすことが懸念されています。NASAは、有人月ミッション(2028年目標)を進める上で、この燃料転送能力の実証をSpaceXに義務付けています。

現NASA長官代行のショーン・ダフィー氏は、SpaceXの月ミッションの進捗の遅れに対し既に批判的な姿勢を示しており、競合他社であるジェフ・ベゾス氏率いるBlue Originへの契約移管を示唆しています。このような状況下での事故は、SpaceXの技術的信頼性、および開発プロセスの安全性確保に関する厳格な管理体制に、さらなる注目を集めることとなるでしょう。

競合他社の動向と宇宙開発競争

SpaceXのStarship開発が困難に直面する一方で、Blue Originは独自のメガロケット「New Glenn」の開発を加速させています。先週にはNew Glennが2度目の打ち上げに成功し、初の商業ペイロードをNASAへ届けたほか、ブースターの着陸にも成功しています。さらにBlue Originは、Starshipと直接競合するさらに大型のNew Glennデザインを発表しており、宇宙開発における競争は一層激化しています。


元記事: https://techcrunch.com/2025/11/21/spacexs-upgraded-starship-suffers-explosion-during-testing/