AWS、米国政府向けAIインフラに500億ドルを投資へ
Amazon Web Services(AWS)は、米国政府機関のAI能力を大幅に向上させるため、500億ドルという大規模な投資を発表しました。この投資は、米国政府専用に設計されたAI「高性能コンピューティングインフラ」の構築に充てられ、連邦政府機関がAWSのAIサービスにこれまで以上にアクセスできるようになることを目指しています。
投資の具体的な内容と目的
AWSによると、この大規模プロジェクトでは、新たに1.3ギガワットのコンピューティング能力が追加されます。これにより、政府機関は以下のAWS製品やサービスを利用できるようになります。
- Amazon SageMaker AI
- モデルのカスタマイズ
- Amazon Bedrock
- モデルのデプロイ
- AnthropicのClaudeチャットボット
データセンタープロジェクトは2026年に着工予定です。AWSのCEOであるマット・ガーマン氏は、「政府向けに特化して構築されたAIおよびクラウドインフラへの投資は、連邦機関がスーパーコンピューティングを活用する方法を根本的に変革するだろう」とコメントしています。さらに、「サイバーセキュリティから医薬品開発に至るまでの重要なミッションを加速させるための高度なAI機能へのアクセスを機関に拡大する。この投資は、政府を阻害してきた技術的障壁を取り除き、アメリカがAI時代をリードする地位をさらに確立するだろう」と述べ、この投資の重要性を強調しました。
米国政府との強固な連携実績
AWSは米国政府との協業において豊富な実績を誇ります。2011年にはすでに米国政府向けクラウドインフラの構築を開始し、2014年には初のエアギャップ商用クラウドである「AWS Top Secret-East」を立ち上げ、機密性の高いワークロードに対応しました。さらに2017年には、すべてのセキュリティ分類レベルへの認定アクセスを提供する「AWS Secret Region」を導入しています。これらの実績は、AWSが政府機関からの信頼を確立していることを示しています。
激化する政府向けAI市場の競争
過去1年間、他のテクノロジー大手も米国政府向けAIサービスの提供に注力しており、市場競争は激化しています。
- OpenAI:1月には連邦政府機関専用のChatGPTバージョンをリリースし、8月には政府機関にChatGPTのエンタープライズティアを年間わずか1ドルで提供する契約を発表しました。
- Anthropic:OpenAIに続き、8月にはClaudeチャットボットのエンタープライズティアを米国政府に1ドルで提供すると発表しました。
- Google:その後すぐに「Google for Government」を発表し、初年度は47セントというさらに低価格でサービスを提供しました。
このような競争が繰り広げられる中、AWSの500億ドル投資は、米国政府向けAI市場における主導的地位を確固たるものにするための戦略的な一歩と言えるでしょう。
元記事: https://techcrunch.com/2025/11/24/aws-is-spending-50b-build-ai-infrastructure-for-the-us-government/
