司法省、RealPageとの家賃価格固定疑惑で和解:ソフトウェアのデータ利用に厳格な制限

米国司法省、RealPageとの家賃固定疑惑で和解を発表

米国司法省(DOJ)は2025年11月24日、広く利用されている家賃設定ソフトウェアのプロバイダーであるRealPage社との間で和解に至ったことを発表しました。この和解は、RealPageが競合する家主から非公開情報を共有することで、家賃価格を共謀して吊り上げていたという司法省の疑惑に対応するものです。

家賃設定ソフトウェア「RealPage」の疑惑

RealPageは、家主が家賃を設定する際に利用するソフトウェアを提供しており、その市場での影響力は大きいとされています。昨年、司法省および複数の州は、RealPageに対して反トラスト法違反訴訟を提起しました。訴状によると、RealPageのソフトウェアは競合する家主からのデータを集約し、日々のレンタル価格の提案を行っていました。司法省は、「競合する家主が家賃を上げると、RealPageのソフトウェアが他の競合する家主にも家賃を上げるよう促していた」と主張していました。これにより、市場における家賃の競争原理が損なわれ、結果として賃借人が不当に高い家賃を支払わされる状況が生まれていたと見られています。

和解の主な内容と市場への影響

裁判所がこの和解を承認した場合、RealPageには以下のような厳しい制限が課せられます。

  • ソフトウェアのアルゴリズムに利用できるデータは、12ヶ月以上経過した家主からのデータのみに限定されます。これにより、リアルタイムの市場操作が困難になります。
  • 家主が価格を下げることを推奨しない、または競合する家主と価格を合わせるよう促す特定の機能の「削除または再設計」が求められます。
  • アシスタント司法長官のアビゲイル・スレーター氏が「ブロックごとに家賃を吊り上げる」と表現した「超地域密着型価格設定(hyperlocalized pricing)」の提供が禁止されます。

これらの措置は、家賃市場における競争を回復させ、賃借人への不当な価格上昇を抑制することを目的としています。RealPageは不正行為を否定していますが、この和解は同社のビジネスモデルに大きな変更を迫るものとなります。

司法省の見解と今後の展望

アシスタント司法長官のスレーター氏は、「RealPageは競争を協調に置き換え、賃借人がその代償を払った。我々は、RealPageが顧客との価格協調をやめる和解に達した」とコメントしています。この和解は、データを利用したアルゴリズムによる価格設定が反トラスト法の対象となり得ることを示す重要な事例となります。今後、同様のソフトウェアやサービスを提供する企業においても、競争法遵守への意識が高まることが予想されます。


元記事: https://www.theverge.com/news/828335/doj-realpage-settlement-rent-setting-software