xAIの新たな電力供給戦略:太陽光発電所の建設
イーロン・マスク氏が設立した人工知能(AI)スタートアップ、xAIは、世界最大級のAIモデル学習施設である「Colossus」データセンターの隣接地に太陽光発電所を建設する計画を明らかにしました。先週、メンフィスの都市・郡計画担当者に提出されたこのプロジェクトは、データセンターの西側および南側の88エーカーの土地を占める予定です。この規模の太陽光発電所は、約30メガワットの電力を生成すると見込まれています。しかし、これはColossusデータセンターの推定電力使用量のおよそ10%に過ぎません。
Colossusデータセンターの環境負荷と批判
xAIは、許可なく400メガワット以上の天然ガスタービンを稼働させているとして、環境保護団体からの強い批判に直面しています。Southern Environmental Law Center(SELC)は、NAACPと協力し、xAIが少なくとも35基のタービンを稼働させ、年間2,000トン以上のNOx(窒素酸化物)汚染物質を排出していると指摘しています。これらの窒素酸化物は、スモッグや呼吸器疾患の一因となります。
地域住民からの健康被害の訴え
テネシー大学ノックスビル校の研究者によると、xAIのデータセンター稼働後、主に黒人コミュニティである近隣のボックスタウンでは、ピーク時の二酸化窒素濃度が79%増加したことが判明しています。地域活動家たちは、施設開設以来、喘息発作やその他の呼吸器系の問題が増加したと報告しており、住民の健康への懸念が深まっています。
今後の電力確保計画と資金調達
xAIは、追加の電力を確保できるまでの間、タービンの使用を継続する意向を示しており、地元当局は2027年1月まで15基のタービンの運転許可を与えています。2024年9月には、同社は100メガワットの太陽光発電所を建設し、これを100メガワットのグリッドスケールバッテリーと組み合わせることで、24時間体制の電力供給源とする計画を発表しました。このプロジェクトの総費用は明らかにされていませんが、太陽光発電所の開発者であるSeven States Power Corporationは、米国農務省から4億3900万ドルの資金を獲得しており、そのうち4億1400万ドルは無利子の融資です。
クリーンエネルギーへの取り組みと課題
トランプ政権下で多くのクリーンエネルギー助成金や融資が中止される中、この連邦からの資金提供は注目に値します。一方で、xAIはミシシッピ州のColossus 2データセンター向けにもガスタービンを追加しており、そのうち18基は「一時的」と見なされているため、規制当局による汚染追跡の対象外とされています。AI産業の急速な成長に伴う膨大な電力需要と、それによる環境への影響のバランスをいかに取るかが、今後の大きな課題となっています。
