米国防総省の「修理する権利」が危機に:請負業者が「データ・アズ・ア・サービス」モデルを推進か

はじめに

米国防総省(DoD)の請負業者が、広範な支持を得ている年次国防政策法案における「修理する権利」条項を阻止しようと画策しており、その努力が実を結ぶ可能性が出てきました。交渉に詳しい情報筋によると、同法案の「修理する権利」に関する文言が「データ・アズ・ア・サービス(data-as-a-service)」モデルに置き換えられる懸念が強まっています。これは、国防総省が機器の修理情報にアクセスするために費用を支払う必要が生じることを意味します。

軍事における「修理する権利」の重要性

「修理する権利」擁護者であるYouTuberのLouis Rossmann氏も指摘するように、この動きは、修理資材へのアクセスに関するトランプ政権の姿勢に反するものです。ピート・ヘグセス米国防長官は5月、軍事装備品メーカーとの契約に「修理する権利」条項を盛り込む意向を示しており、陸軍と海軍もこれを支持しています。

エリザベス・ウォーレン上院議員(民主党・マサチューセッツ州)とティム・シーヒー上院議員(共和党・モンタナ州)による「ウォリアー修理する権利法(Warrior Right to Repair Act)」の文言は、10月に上院を通過した国防総省の年次政策法案「国家防衛権限法(NDAA)」に盛り込まれました。この条項は、全軍に自前の装備を修理する能力を与えるとともに、請負業者に修理に必要な情報を提供するよう義務付けるものです。

請負業者側の動きと「データ・アズ・ア・サービス」

ウォーレン上院議員は今月初め、潜在的な外部からの影響について警鐘を鳴らし始めました。主要な国防総省請負業者で構成される業界団体である国防産業協会(NDIA)は、「データ・アズ・ア・サービス」の支持を含む白書を発表しました。同白書は、これにより「国防総省が請負業者の完全な技術データライブラリに『従量制』でアクセスする契約を締結できるようになり」、請負業者の知的財産を保護できると主張しています。

提案されている文言は、下院軍事委員会の委員長を務めるマイク・ロジャース下院議員(共和党・アラバマ州)とアダム・スミス下院議員(民主党・ワシントン州)が概説した「SPEED Act」の内容を反映しているようで、国防総省に対し、修理ツールや情報へのアクセスを容易にするための「データ・アズ・ア・サービス・ソリューション」の交渉を義務付けています。

懸念される影響と過去の事例

私たちはすでに、自動車メーカーがこの種の仕組みを導入し、独立した修理工場に独自ソフトウェア、ツール、情報へのアクセス費用を支払わせている事例を見てきました。ジョン・ディア(John Deere)社も、自社の装備を修理するために農家が必要とする情報を含むオンラインハブ「オペレーションズ・センター・プロ・サービス(Operations Center Pro Service)」を立ち上げており、1台あたり195ドルから利用可能です。

航空機メーカーを支援する業界団体である航空宇宙産業協会(AIA)の社長兼CEOであるエリック・ファニング氏も11月の論説で、「修理する権利」条項は請負業者に「知的財産を引き渡す」ことを強いるため、彼らに損害を与えると主張しました。

背景にあるロビー活動と資金

NDIAやAIAのような業界団体に代表される国防請負業者は、強力なロビー活動を展開しています。Rossmann氏が指摘するように、ロジャース下院議員は2024年に国防産業から53万5,000ドル以上、スミス下院議員は31万550ドル以上の献金を受け取っています。

今後の展望

NDAAの最終版は来週初めに公開される予定であり、その内容が「修理する権利」の将来にどのような影響を与えるか、今後の動向が注目されます。


元記事: https://www.theverge.com/news/830715/military-contractors-right-to-repair-ndaa-data-as-a-service