インドの反トラスト法にAppleが異議
Appleは、インドにおける新たな反トラスト法の適用を阻止するため、デリー高等裁判所に提訴しました。この法律は、独占的地位の濫用に対する罰金を算出する際に、企業のグローバル売上高を基準とすることを認めており、これによりAppleは最大380億ドル(約5.7兆円)という巨額の罰金を科される可能性があります。
インド競争委員会(CCI)が昨年可決したこの法律は、企業の総売上高の最大10%を罰金として課すことを可能にします。Appleは、この算出方法が「明らかに恣意的、違憲、極めて不均衡かつ不当」であると主張しており、罰金は特定の反トラスト法違反に関与した部門のインド国内での収益に基づくべきだと訴えています。
巨額の罰金リスクとAppleの反論
この訴訟の背景には、2022年からTinder運営会社Matchをはじめとする複数のインドのスタートアップ企業がAppleを相手取って起こしている反トラスト訴訟があります。CCIは昨年、Appleが開発者にアプリ内課金システムの使用を強制していることを「不当な行為」と指摘する調査報告書を2度発表しました。
しかし、これらの報告書にはAppleの企業秘密情報が含まれていたため、CCIは一時的に報告書を撤回せざるを得ず、調査が数ヶ月遅延しました。現時点では最終的な決定は下されておらず、Appleに対する罰金もまだ課されていません。
Appleは一貫して、いかなる不当な行為も行っていないと主張しています。同社は、Androidデバイスが圧倒的に普及しているインド市場において、スマートフォンの市場シェアは非常に小さいことも反論の根拠としています。
遡及適用への懸念と今後の展望
Appleが今回の提訴に踏み切ったのは、罰則の遡及適用に対する強い懸念があるためです。Appleは、CCIが11月10日に別のケースで、10年前の違反行為に対してこの新たな罰則法を適用したことを指摘しています。そのため、自社にも遡及的に巨額の罰金が適用されることを避けるため、「他に選択肢はなく、今この憲法上の異議を申し立てる」と表明しました。
一方、Matchは、グローバル売上高に基づく高額な罰金は、企業が反トラスト法違反を繰り返すことを抑止する効果があるとして、この法律を支持しています。Appleの申し立ては、12月3日に審理される予定であり、インドにおけるテクノロジー企業の事業運営に大きな影響を与える可能性のある判決が注目されます。
元記事: https://www.macrumors.com/2025/11/26/apple-india-antitrust-law-challenge/
