インド政府、アプリ強制プリインストールの命令を撤回
インド政府は、スマートフォンメーカーに対し、国が支援する特定のセキュリティアプリのプリインストールを義務付ける命令を、送付からわずか1週間足らずで撤回しました。この異例の撤回は、特にAppleがこの命令に従うことを拒否する計画であったことが業界筋から報じられた直後のことです。
強制プリインストールの背景:Sanchar Saathiアプリ
問題となったアプリは、インド電気通信省が運営するセキュリティアプリ「Sanchar Saathi」です。このアプリには、紛失または盗難された携帯電話をIMEI(国際移動体装置識別番号)を用いて追跡し、ブロックする機能が含まれています。現在、このアプリはApp StoreおよびGoogle Playストアで誰でもダウンロード可能ですが、インド政府は当初、これをすべてのスマートフォンにプリインストールさせ、さらにユーザーがアプリを無効にできないようにすることを義務付けようとしていました。
Appleの抵抗と政府の対応
ロイター通信が報じた業界関係者の情報によると、Appleはこの強制プリインストールの命令に従わない方針でした。そして、その報道の直後、インド通信省は水曜日に命令の撤回を発表しました。
政府は声明の中で、「Sanchar Saathiは安全であり、サイバー世界の悪意ある行為者から市民を保護することを純粋に意図している」と主張。しかし、強制化命令に対して上がっていた反発やプライバシーに関する懸念には直接触れませんでした。代わりに、政府はポリシー変更の理由を「Sanchar Saathiの受け入れが増加していることを鑑み、政府はモバイルメーカーへのプリインストール義務化を行わないことを決定した」と、アプリの自発的なダウンロード数の増加に帰しました。
プライバシーとテクノロジー企業の姿勢
この命令は、ユーザーのプライバシー侵害や政府による監視につながる可能性が指摘され、広範な懸念を引き起こしていました。今回のインド政府の撤回は、主要なテクノロジー企業、特にAppleが、政府の要請に対してユーザープライバシーを擁護し、毅然とした態度を示した結果であると見られています。政府がアプリの「受け入れ増加」を理由に撤回したものの、その背景にはAppleのような大手企業の抵抗があったことが示唆されます。
元記事: https://www.theverge.com/news/837209/india-sanchar-saathi-app-requirement-dropped
