はじめに
ZSAが提供する「Voyagerキーボード」と、その革新的な「Navigatorトラックボール」の組み合わせは、まさにDIY愛好家やキーボードのカスタマイズに情熱を傾ける人々のために設計されています。キーボードのレイアウトを自由に調整し、トラックボールをキーボードのすぐ隣に配置することに魅力を感じる方にとって、このコンボは注目に値するでしょう。究極の快適さや効率性を追求するために、既存のセットアップを一新する準備があるなら、ZSAの提案は新たな可能性を提示します。
Voyagerキーボードの概要
Voyagerは、薄型、有線、分割型メカニカルキーボードで、52個のホットスワップ可能なキーをカラムスタッガードレイアウトで配置しています。これにより、ユーザーはキーの種類を自由に交換でき、自分好みの打鍵感を実現できます。レビュー用に提供されたモデルにはKailh Choc v1 Pro Redリニアスイッチが搭載されており、柔らかな打鍵感が特徴です。また、RGBライトを搭載しており、デスクに彩りを加えることが可能です。
Voyagerは磁気ベースを備え、アクセサリーを簡単に取り付けられるほか、傾斜をつけるための小さな磁気ヌブも付属しています。これにより、好みに応じてキーボードの角度を微調整できます。さらに、別売りの三脚マウントを使用すれば、より自由な角度調整も可能です。
Navigatorトラックボールの概要
2023年にリリースされたVoyagerキーボードの最新アクセサリーがNavigatorトラックボールです。これはキーボードの左右どちらかの親指クラスターの真上に磁石で装着できる画期的な製品です。レビューでは「トラックボールレッド」と表現された特徴的な色のボールは非常に滑らかに転がり、快適な操作感を提供します。キーボードのすぐ隣に配置されているため、タイピング中に手をほとんど動かすことなくカーソル操作が可能となり、作業効率の向上と手の負担軽減に貢献します。
Oryxソフトウェアによる高度なカスタマイズ
VoyagerとNavigatorの真骨頂は、ZSA独自のOryxコンフィギュレーターソフトウェアによる圧倒的なカスタマイズ性にあります。このソフトウェアを使えば、任意のキーに別のキー機能、複雑なマクロ、メディア再生ボタン、さらにはマウスのクリック操作まで、自由に割り当てることができます。さらに、キーは「タップ」「ホールド」「ダブルタップ」「タップ&ホールド」といった操作方法に応じて異なる機能を実行するように設定でき、無限に近いパーソナライズの可能性を提供します。異なるキーレイヤーを設定することで、限られたキー数でも多様な機能を使いこなすことが可能です。
レビューでは、Oryxソフトウェアの使いやすさが特に評価されており、作成したレイアウトはZSAのKeymappアプリを通じてキーボードに簡単に書き込むことができます。
価格とターゲット層
VoyagerキーボードとNavigatorトラックボールは、その機能性に見合った価格設定がされています。Voyagerは365ドル、Navigatorは169ドルで、両方合わせると534ドルとなります。さらに、自由な角度調整を可能にする三脚マウントは89ドル(三脚本体は別売)です。この価格帯は、本製品が一般的なユーザー向けではなく、非常に具体的なタイピングニーズを持つ人々や、自身の入力デバイスを徹底的にカスタマイズしたいと考えるエンスージアストを主なターゲットとしていることを示しています。
レビュー担当者の使用感と課題
レビュー担当者は、スプリット型エルゴノミクスキーボードやColemak配列の経験者で、入力デバイスのカスタマイズに慣れている人物です。しかし、ZSA VoyagerとNavigatorを使用する中で、いくつかの評価点と課題が浮上しました。
良い点 (The Good)
- ホットスワップ可能なキーと使いやすいソフトウェアによる高いカスタマイズ性
- 操作が楽しく、鮮やかな赤色の高品質なトラックボール
- アクセサリー取り付け用の磁気キーボードベース
- 傾斜調整用のテンティングヌブが付属
悪い点 (The Bad)
- 高価な価格設定
- レビュー担当者にとってはキー数が不足(特に矢印キー)
- カラムスタッガードレイアウトが自身の好みと合わなかった
個人の使用感としては、Voyagerの52キーという限られたキー数は、特に「矢印キー」のような日常的に不可欠なキーの配置に課題を感じさせました。トラックボール用のマウスクリックボタンを親指に割り当てたことで、他の重要なキーを犠牲にせざるを得ない状況も発生しました。
また、カラムスタッガードレイアウトは、従来の staggered keyboard とは異なるため、指が絡まる感覚があり、慣れるまで時間を要しました。多忙な仕事と子育てを両立させる中で、完璧なレイアウトを追求するための時間やエネルギーを割くことができず、一時的に使用を中断するに至りました。これは、本製品が高度なカスタマイズ性を持つ一方で、ユーザー側にもそれに対応する時間と労力が求められることを示唆しています。
しかし、長期間の使用中断を経て再びVoyagerを試した際、予想よりもスムーズに慣れることができたと述べています。結論として、レビュー担当者は、ZSA VoyagerとNavigatorが「いじくり回すのが好きな、適切な人物」にとっては素晴らしいデスクアップグレードとなり得ると評価しています。しかし、現在のライフスタイルではその「適切な人物」ではないとしつつも、将来的に再びそうなりたいという願望も表明しており、本製品の持つ魅力と可能性を認めています。
元記事: https://www.theverge.com/tech/819894/zsa-voyager-keyboard-navigator-trackball-mechanical-ergonomic
