VSCO、消費者向け事業不振で24名を解雇 – プロ向けAI戦略に転換

事業再編と大規模レイオフの背景

写真編集アプリで知られるVSCOが、24名の従業員を解雇し、大規模な事業再編に踏み切ったことをTechCrunchが報じました。今回のレイオフは、マーケティング、技術、プログラム管理の各チームに影響を及ぼしており、同社のコンシューマービジネスが予想以上に落ち込んだことが主な原因とされています。

VSCOのCEOであるエリック・ウィットマン氏は社内メモで、コンシューマービジネスの落ち込みと、新たな成長戦略が期待通りの成果を出せなかったことを認めています。ただし、同社は過去4年間で3年間はEBITDA(税引前・利払い前・減価償却前利益)がプラスであったと強調しており、消費者向け事業の低迷にもかかわらず、他の分野では成長が見られたとも述べています。

プロ写真家向け事業への注力とAI戦略

今回の再編の目的は、プロ写真家向けのツール開発に注力し、より効率的で効果的な企業運営体制を確立することにあります。ウィットマンCEOは、今後5年間で「AIネイティブな企業」として運営していく意向を示しており、AI技術を核とした成長戦略を掲げています。

具体的な取り組みとしては、以下の点が挙げられています。

  • AIを搭載した刷新されたエディターの開発
  • ユーザーのタスク遂行を支援するAIアシスタントの構築
  • 写真家がポートフォリオを公開・展示できる公開写真ギャラリー機能の再設計

VSCOは、昨年には写真家とブランドを繋ぐマーケットプレイスを立ち上げ、今年に入ってからはAIを活用したコラボレーションツール「Canvas」や新たな編集機能をリリースするなど、既にAI分野への投資を進めてきました。

競争激化する市場での新たな立ち位置

Canva、Googleフォト、Adobe Lightroomといった競合他社が次々とAI機能を導入し、消費者向け市場での競争が激化する中で、VSCOはプロ写真家向けに特化したニッチな市場で、独自のAI技術を活用した価値提供を目指す戦略へと舵を切ったと見られます。これにより、同社は競争の激しい消費者向け市場から、より専門性の高いプロフェッショナル市場での確固たる地位を築くことを狙っています。


元記事: https://techcrunch.com/2025/12/09/vsco-lays-off-24-staff-as-its-consumer-business-suffers/