AIエージェント管理のPortが大型資金調達
イスラエルのスタートアップPortは、Spotifyの人気開発者ツール「Backstage」の競合として注目を集める中、1億ドルのシリーズC資金調達を完了し、評価額は8億ドルに達したことを発表しました。
このラウンドはGeneral Atlanticが主導し、Accel、Bessemer Venture Partners、Team8も参加しました。今回の調達により、Portの総資金調達額は1億5800万ドルとなります。
SpotifyのBackstageとPortの独自性
音楽ストリーミングで有名なSpotifyは、「Backstage」というオープンソースプロジェクトを通じて、企業が独自の社内開発者ポータルを構築するのを支援しています。これは開発ツールカタログ、作業の可視化、その他の指標を提供します。
しかし、オープンソースゆえに「自社構築」が必要となるBackstageに対し、2022年設立のPortは独自のソリューションを提供しています。GitHub、British Telecom、LGといった大手顧客を獲得しているPortは、開発者ツールポータルをAIエージェント管理にも活用できるように進化させています。
AIエージェントの「ワイルドウェスト」を整理
LLMベースの技術が浸透する中でも、コーディング分野は特に深く影響を受けており、開発者はコード生成だけでなく、プロセス全体の自動化を可能にするAIエージェントの導入と構築の最前線にいます。しかし、Portの共同創設者兼CEOであるZohar Einy氏は、現在、企業における開発ツールエージェントの状況は「ワイルドウェスト(無法地帯)」だと指摘します。
エージェントの発見、共有、そして企業標準への準拠の確保といった課題が山積しており、開発者はAIをコーディング以外にも、インシデント解決、セキュリティ問題の対処、リリース管理などに活用したいと考えているとEiny氏は述べます。
Portが提供する包括的なソリューション
Portは単なる開発者ツールやエージェントのカタログに留まりません。オーケストレーションのレイヤーを提供し、エージェントのパフォーマンス測定、承認プロセスにおけるヒューマン・イン・ザ・ループ(人間の関与)機能などを備えています。
特に重要な機能として、「コンテキストレイク」があります。これはエージェントが安全かつ正確にタスクを遂行するために「知るべきこと」、すなわちデータソース、コンテキストメモリ、そしてガードレールを定義するものです。
- 既存エージェントのカタログ化
- Port内で新しいエージェントの作成
- ヘルプデスクチケットの解決やプロビジョニングをこなす既製エージェントの提供
Einy氏は、Portの製品はプログラマーが行うコーディング以外の「残りの90%」の作業を処理するものだと説明しています。これはエンジニアに、AIエージェントを制御し、反復させ、その行動(コーディング以外のすべての90%)を承認するためのユーザーインターフェースを提供します。
激化する競争環境
Portは多額の資金、大手顧客、そして一流のVCからの支援を得て、AIエージェント管理分野で注目すべきスタートアップとなっています。しかし、このエージェント管理とオーケストレーションの分野は、大手テクノロジー企業からスタートアップまで、多くの企業が様々なアプローチで参入しており、競争は非常に激しいとされています。主な競合にはLangChain、UiPath、Cortexなどが挙げられます。
元記事: https://techcrunch.com/2025/12/11/port-raises-100m-at-800m-valuation-to-take-on-spotifys-backstage/
