RunwareがシリーズAで5000万ドルを資金調達
画像、動画、音声のリアルタイム生成を容易にする開発ツールプラットフォームであるRunwareが、シリーズAラウンドで5000万ドル(約70億円)の資金調達を発表しました。
このラウンドはDawn Capitalが主導し、同社のパートナーであるShamillah Bankiya氏がRunwareの取締役会に加わります。その他、Insight Partnersとa16z Speedrunも出資しており、Runwareのこれまでの総資金調達額は6600万ドル(約92億円)に達しました。
リアルタイム生成を可能にする独自技術
Runwareは2023年、共同創業者Flaviu Radulesc氏がテキストから画像を生成する技術のテスト中に、GenAI技術の強力さとは裏腹に、生成速度の遅さに課題を感じたことからIoana Hreninciuc氏と共に設立されました。彼らは、開発者が新たなインフラを構築したり、複数の統合を維持したりすることなく、一つのインターフェースを通じてメディアアセットを生成できるAPIを提供しています。
Runwareの強みは以下の点にあります:
- オープンソースモデル向けのカスタムAI推論インフラストラクチャ
- モデルリリースと同時に利用可能になる「デイゼロアクセス」
- 競争力のある価格設定
- 統一されたAPI
- カスタムAIハードウェアで動作する「Sonic Inference Engine」
- モデルのロードとアンロードの最適化による40万以上のモデルサポート
同社はこれまでに、10万以上の開発者に利用され、50億以上のクリエイティブ生成を支援してきました。
競合ひしめくGenAI開発ツール市場
最近、AI生成技術の分野、特に画像や動画生成のための開発者ツールはベンチャーキャピタルからの注目が高まっています。Fal.aiがわずか数ヶ月で1億4000万ドルを調達し、評価額45億ドルに達した例からも、この市場の活況が伺えます。
Runwareは、Fal.aiがモデル提供の幅広さに注力するのに対し、生成スピードとコスト効率で差別化を図っています。共同創業者らは、Hugging FaceやReplicate、Together AIといった一般的なオープンソースモデルホスティングプロバイダーを競合と捉えつつも、RunwareはGPUコンピューティング時間に基づく課金ではなく、Stable DiffusionやFluxのように「画像生成あたりのコスト」で課金することで、開発者が実際に必要な分だけ支払うモデルを提供しています。
今後の展望:「すべてのAIのためのAPI」へ
今回の新たな資金は、Runwareのインフラストラクチャをさらに拡張するために使用されます。同社は、Sonic Inference Engineを活用して200万以上のモデルをサポートすることを目指しており、「すべてのAIのためのAPI」となることを究極の目標としています。
Hreninciuc氏は、新たなモダリティへの急速な拡大を進めるとともに、現在の約25名のチームを増強する計画を明らかにしました。彼女は、Runwareが「アプリケーションが数百万ユーザーにスケールしながら、実際に利益率を維持できる」ようにし、「アプリ開発者からエンドユーザーまで、すべての人に利益をもたらし、強力なAIをより多くの人々の手に届ける」ことを望んでいます。
