テトリスに特化したスマートウォッチ、その実態は?
「Tetris: My Play Watch」は、人気のパズルゲーム『テトリス』の世界観を前面に押し出したスマートウォッチです。Apple Watchのような見た目を持ちながらも、その機能はテトリスのプレイと、テトリスをテーマにしたUIに特化しています。しかし、その最大のセールスポイントであるはずのテトリスゲームプレイにおいて、致命的な問題を抱えていることが明らかになりました。
魅力的なデザインと限定的な機能
このウォッチは、テトリスファンにはたまらないデザインが特徴です。カラフルなテトリス柄のバンド(標準バンドへの交換も可能)や、9種類のテトリスをテーマにしたウォッチフェイスが用意されており、デジタル表示とアナログ表示の両方でバッテリー残量やフィットネス統計などの様々な情報が表示されます。しかし、フェイスのデザインにカスタマイズ性はなく、表示される情報も静的です。
テトリス以外にも、ストップウォッチ、タイマー、カレンダー、電卓、フィットネストラッカー、アラームといった基本的な機能を備えていますが、どれも非常にシンプルなものです。例えば、アラームは複数設定できるものの、繰り返し設定や、テトリスのメインテーマ以外の音を選ぶことはできません。
テトリス体験を損なうタッチスクリーン操作
このウォッチの最大の欠点は、テトリスのゲームプレイを台無しにするタッチスクリーン操作の不出来さにあります。ピースの移動は画面を横にドラッグ、回転はタップ、落下速度アップはタップ&ホールド、即時落下は下方向へのスワイプと、ジェスチャー自体は覚えやすいものの、ウォッチのタッチスクリーンはこれらの操作を頻繁に誤検出したり、全く認識しなかったりします。
- わずかなピース移動のためのスライドが、意図しない回転として認識される。
- 焦って回転させようとしたタップが、即時落下と誤解釈され、ピースが望まない位置に落ちる。
ゲーム内にはオートローテーション機能など、操作を補助する設定もありますが、これらは根本的な問題を解決するには至っていません。結果として、プレイヤーは戦略を練るよりも、慎重にタップやスワイプをすることに集中せざるを得ず、テトリス本来の楽しさが損なわれています。
バッテリーライフとアップデートの課題
バッテリーライフも期待できません。高輝度・高音量で約15分のテトリスプレイを含むテストでは、バッテリーはわずか6.5時間で消耗しました。輝度を最低、音量を半分にすることで約12時間まで伸びましたが、毎日充電が必要になるでしょう。
さらに、このウォッチはソフトウェアアップデートに対応しておらず、タッチコントロールの問題が改善される見込みはありません。将来のバージョンでハードウェアやソフトウェアの改善が期待されますが、現行モデルでの修正は不可能です。
結論:見た目は魅力的でも、実用性には疑問符
「Tetris: My Play Watch」は、79.99ドルという価格で、スマートウォッチの見た目を持ちながらも通知などの邪魔がなく、テトリス愛を表現したい人には魅力的に映るかもしれません。しかし、テトリスを快適にプレイするという本来の目的においては、その操作性の悪さが大きな障壁となり、期待を裏切る結果となっています。テトリスを真に楽しみたいのであれば、別のデバイスを検討するべきでしょう。
元記事: https://www.theverge.com/gadgets/842702/tetris-my-play-watch-smartwatch-hands-on
