Spinny、GoMechanic買収に向け約1.6億ドルの資金調達か – インド中古車市場の再編加速

インド中古車市場の巨人Spinny、GoMechanic買収へ大規模資金調達

インドのオンライン中古車市場を牽引する「Spinny」が、自動車サービススタートアップ「GoMechanic」の買収を目指し、約1億6000万ドル(約230億円)の資金調達を進めていることが明らかになりました。この動きは、急成長を続けるインドの中古車市場における主要プレイヤーの統合と、市場競争のさらなる激化を示唆しています。

資金調達の詳細と主要投資家の動向

TechCrunchが関係者から得た情報によると、今回の資金調達はシリーズGラウンドにあたり、プライマリーとセカンダリーの組み合わせで行われます。これにより、創業10年目を迎えるSpinnyの企業評価額は、前回の評価額とほぼ同水準の約18億ドル(約2600億円)に達すると見込まれています。プライマリー部分では約9000万ドルが調達され、既存投資家であるAccelがすでに約4400万ドルを投入しています。残りの部分には新たな投資家が参加する予定です。また、WestBridge Capitalも前回の投資に匹敵する規模の資金を再投資しており、セカンダリー部分ではFundamentumやBlume Venturesが保有株式の一部を売却する計画です。

GoMechanic買収の戦略的狙い

Spinnyが今回調達する資金は、既存の事業運転資金ではなく、GoMechanicの買収とそのプラットフォームへの投資に特化して使用されると報じられています。SpinnyにとってGoMechanicの買収は、中古車バリューチェーン全体における支配力を深める上で極めて重要な戦略的意義を持ちます。現在、Spinnyは月に約13,000台の中古車を販売していますが、販売後のアフターサービスは第三者のサービス店に依存しています。GoMechanicを傘下に収めることで、以下のメリットが期待されます。

  • アフターサービスの垂直統合: GoMechanicのサービスネットワークを自社内に取り込むことで、顧客向けのアフターサービスを内製化し、品質管理と効率性を向上させることができます。
  • 「双方向のファネル」機能: GoMechanicのプラットフォームは、Spinnyを通じて売買された車両の整備拠点となるだけでなく、Spinnyの顧客ではない自動車所有者も引き付け、新たな車両供給源や顧客獲得の機会を創出します。これにより、顧客獲得コストを削減しながら事業規模を拡大できる可能性があります。

GoMechanicの過去とインド中古車市場の成長

GoMechanicは、2023年に財務報告における「重大な誤り」を認めた後、Lifelong Groupが主導するコンソーシアムによって買収された経緯があります。同社はかつて、Sequoia Capital、Tiger Global、SoftBankといった著名な投資家から支援を受けていました。

インドの中古車市場は著しい成長を遂げており、最新のレポートによると、現在の約600万台から2030年までに約950万台へと、年間平均成長率10%で拡大すると予測されています。この成長市場において、SpinnyはGoMechanicの買収を通じて、市場でのリーダーシップをさらに確固たるものにしようとしています。

Spinnyの多角化戦略と今後の展望

今回のGoMechanic買収は、Spinnyが推し進める多角化戦略の一環でもあります。同社は近年、中古車販売事業の核を維持しつつ、自動車関連メディア(Autocar India、Autocar Professional、What Car? India)を買収。さらに、顧客に自動車ローンを提供するノンバンキング金融会社「Spinny Capital」を立ち上げるなど、事業領域を積極的に拡大し、自動車エコシステム全体でのプレゼンスを高めています。

Spinnyの共同創業者兼CEOであるNiraj Singh氏は、本件に関するコメントを控えています。


元記事: https://techcrunch.com/2025/12/13/indias-spinny-lines-up-160m-funding-to-acquire-gomechanic-sources-say/