はじめに
電気自動車大手テスラの保険部門が、カリフォルニア州保険局(CDI)から「著しい遅延」と「組織的欠陥」を理由に厳しい執行措置を受けました。長年にわたる警告にもかかわらず、テスラは顧客の保険金請求を日常的に拒否または遅延させていたとされています。
告発の詳細
CDIの新たな提出書類によると、テスラの保険部門とその提携先であるステート・ナショナル・インシュアランス・カンパニーは、「意図的な不公正な保険金請求処理慣行」に関与していました。これには、処理のあらゆる段階における「保険契約者からの請求への対応における著しい遅延」および「不合理な拒否」が含まれます。これにより、保険契約者に「経済的損害」と「苦痛」を与えたとされています。
問題の経緯と悪化
- 2022年: CDIがテスラにこれらの問題について初めて接触。
- 2022年12月: 消費者からの苦情が顕著に増加したため、CDIはテスラおよびステート・ナショナルと会合を開始。テスラは請求量の過小評価と人員不足を認め、増員を約束。
- 2023年4月: テスラがようやく新しい請求部門責任者を雇用。
- 2024年: CDIは、テスラに対する消費者からの苦情と「法違反」が「著しく増加」していることを確認。2022年の83件に対し、2024年には829件の苦情が寄せられ、そのうち775件で法違反が確認されました。
- 2025年(9月22日まで): 苦情はさらに悪化し、1,481件の苦情と1,969件の保険法違反が特定されました。
2022年以降、テスラは合計で約3,000件の州保険法違反を蓄積しており、その大半は義務付けられている15日以内の顧客対応の不履行によるものです。また、166件の違反では、請求に対する「徹底的、公正かつ客観的な調査」を怠っていたことが判明しています。
規制当局の警告とテスラの対応
CDIは、テスラに対し請求処理の問題と法違反について繰り返し通知してきましたが、テスラが改善を約束する一方で、「正当な苦情と違反の数は増え続け、テスラがその慣行を是正できなかったことを示している」と述べています。
潜在的な法的影響
この執行措置は、テスラにさらなる法的影響を及ぼす可能性があります。今年7月には、同社が意図的に保険金支払いを遅延させ、最小限に抑えたという疑惑で、集団訴訟が提起されています。CDIは、テスラの行動が「潜在的な第三者賠償責任リスク」を生み出した可能性があると指摘しています。
テスラは2019年に「より安価な保険料と迅速なサービス」を約束して自社保険商品を立ち上げましたが、当初からウェブサイトのクラッシュや高額な見積もりなど、困難なスタートを切っていました。
今後の展望
テスラとステート・ナショナルは、この告発に対して15日以内に回答する必要があります。この問題は、テスラの保険事業の信頼性に大きな影を落とすものと見られています。