2027年、遺灰を宇宙へ手頃な価格で送るスタートアップ「Space Beyond」

宇宙葬の新時代を切り開く「Space Beyond」

2026年1月23日、スタートアップ企業「Space Beyond」が、2027年に「Ashes to Space(宇宙への遺灰)」プログラムを開始すると発表しました。このプログラムは、わずか249ドルからという画期的な価格で、故人の遺灰を宇宙へと送るサービスを提供します。創業者のライアン・ミッチェル氏は、NASAのスペースシャトルプログラムやジェフ・ベゾスのBlue Originでの経験を持つ製造エンジニアであり、自身の家族の散骨式での経験からこのアイデアを着想しました。彼らはCubeSatと呼ばれる小型衛星を利用し、一度に最大1,000人分の遺灰を宇宙に運ぶ計画です。

Space Beyondは、Arrow Science and Technology社と打ち上げサービス契約を締結し、2027年10月に予定されているSpaceX Falcon 9のライドシェアミッションでCubeSatを統合する予定です。

手頃な価格を実現するビジネスモデル

宇宙葬自体は1990年代からCelestisのような企業によって提供されてきましたが、Space Beyondの最大の特徴はその手頃な価格にあります。従来のサービスが数千ドルかかるのに対し、最安で249ドルから提供されます。この価格を実現するために、同社はいくつかの戦略を採用しています。

  • ライドシェアモデルの活用: SpaceXのFalcon 9のような大型ロケットのライドシェアを利用することで、打ち上げコストを大幅に削減しています。これは、小型衛星の開発が盛んになり、宇宙アクセスが民主化された現代ならではのアプローチです。
  • Bootstrapped(自己資金)経営: Space Beyondは外部の投資家からの資金調達に頼らず、利益最大化よりもサービス提供を優先する姿勢を示しています。ミッチェル氏は、「このサービスには安すぎると言われるが、世界を征服したり、何十億ドルも稼ぐつもりはない」と述べており、葬儀業界における高額な料金設定に一石を投じるものです。

ただし、遺灰の火葬は別途行う必要があります。

サービス内容と留意点

Space Beyondのサービスにはいくつかの特徴と制限があります。

  • 遺灰の量: CubeSatの形式上、一人あたりの遺灰は約1グラムに制限されます。これにより、多くの顧客の遺灰を搭載し、事業としての採算性を確保しています。残りの遺灰は家族が自由に扱うことができます。
  • 軌道と期間: CubeSatは高度約550kmの「太陽同期軌道」を周回し、世界中のどこからでも追跡サービスを通じてその位置を確認できます。軌道上での滞在期間は約5年間で、その後は地球の大気圏に再突入し、燃え尽きることで象徴的な最期を迎えます。
  • 遺灰の散布はなし: 宇宙空間での遺灰の物理的な散布は行いません。これは、宇宙デブリ発生のリスクを避けるためです。

ミッチェル氏のビジョン

Blue Originを退職した際、ミッチェル氏は多くのアイデアを抱えていましたが、最終的に宇宙葬事業に強く惹かれました。「費用が高すぎたり、難しすぎると自分に言い聞かせようとしたが、工学的な厳密さをもって要件やビジネスケースを検討するたびに、このアイデアが理にかなっていると感じた」と彼は語っています。彼の妻も「何週間も前から、あなたがこのことばかり話しているのは知っていた」と述べるほど、このアイデアに情熱を傾けていることが伺えます。ミッチェル氏の目標は、悲しみに暮れる人々に、より意味深く、手頃な価格で故人を偲ぶ機会を提供することにあります。


元記事: https://techcrunch.com/2026/01/23/this-startup-will-send-1000-peoples-ashes-to-space-affordably-in-2027/