テスラ、アイデンティティ変革の最中:EV事業の減速とAI・ロボティクスへの大規模投資

テスラのブランド再構築:EVからAI・ロボティクスへ

テスラCEOのイーロン・マスクは長年、同社を単なる電気自動車(EV)メーカー以上の存在として位置づけようと試みてきました。2016年のソーラーシティ買収時には「持続可能なエネルギー企業」として、そして過去1年間は「AIおよびロボティクス企業」としてのイメージを強く打ち出しています。

しかし、こうした「願望的ブランディング」は、依然としてEV販売に大きく依存する同社の財務実態と衝突しています。2025年の売上高948億ドルのうち、EV販売とリース、関連する規制クレジットが695億ドルを占め、残りの250億ドルはエネルギー事業とスーパーチャージャー、部品販売、フルセルフドライビング(FSD)サブスクリプションを含む「サービスおよびその他」で構成されています。

EV販売の落ち込みがテスラのバランスシート全体に影響し、2025年の利益は前年比で46%減少しました。これに対し、テスラはEV以外の事業を成長させることで補おうとしており、直近の四半期および通期決算報告では、従来のAI・ロボティクスに関する発言から、具体的な行動への転換が示唆されています。

大規模投資と戦略的転換:モデルS/X廃止と新領域への注力

マスクは2026年を大規模な設備投資(CapEx)の年と位置づけ、投資額を200億ドルに倍増させる計画を発表しました。これは一時的にマイナスのキャッシュフローとなる可能性を秘めています。

  • Model SとModel Xの生産終了:テスラは、販売台数の約2%を占めるに過ぎないModel SとModel Xの生産を終了します。これは象徴的な意味合いが強く、2012年にModel Sが発売されて以来、自動車業界に多大な影響を与えてきた一つの時代の終わりを告げるものです。
  • Optimusロボットとロボタクシーの拡大:Model SとXの生産ラインの空きを、ヒューマノイドロボット「Optimus」の製造に充てる計画です。また、2026年にはロボタクシー事業の展開都市を拡大し、チップ供給を強化するための「TerraFab工場」建設の必要性も示唆されました。
  • xAIへの投資と統合:特に注目すべきは、マスクが率いるもう一つの企業であるxAIへの20億ドルの投資計画、および両社の緊密な連携を示唆した点です。一部報道では、SpaceX、Tesla、xAIの3社が何らかの形で合併する可能性も浮上しています。

現在のテスラは、EV販売の減少と対照的に、比較的小規模なエネルギー貯蔵事業がプラスの成長を達成している状況です。

自動運転業界の動向:Waymoの資金調達と課題

自動運転分野では、Waymoが最大150億ドル規模の資金調達ラウンドを進めているとの情報があります。主要な出資元は親会社Alphabetですが、外部投資家、特にOEMからの高い関心も寄せられている模様です。

Waymoは、サンフランシスコ国際空港(SFO)へのロボタクシーサービス提供が許可され、選ばれた利用者からサービスを開始し、数ヶ月内には一般公開する予定です。しかし、同時に国家幹線道路交通安全管理局(NHTSA)と国家運輸安全委員会(NTSB)による調査を受けています。1月23日にはサンタモニカの小学校近くでロボタクシーが子供に衝突する事故が発生したと報じられています。また、サンフランシスコ市警は、Zooxの自動運転車が駐車中の車に衝突した事故についても調査を進めています。

注目のスタートアップと業界再編の動き

  • Waabiの大型資金調達:自動運転トラックのスタートアップWaabiは、Khosla VenturesとG2 Venture Partnersが主導するシリーズCラウンドで7億5000万ドルを調達し、さらにUberから2億5000万ドルのマイルストーン資本を獲得しました。これにより、Uberプラットフォームで25,000台以上のWaabi Driver搭載ロボタクシーを展開する予定です。
  • Gatik AIの大型契約:自律走行トラックを開発するGatik AIは、未公表の大手消費財企業と、5年間で6億ドル相当の完全無人輸送契約を締結しました。
  • LuminarのLiDAR事業売却:LiDAR企業Luminarの事業は、RedmondのMicroVisionに3300万ドルで売却されました。
  • Rad Power Bikesの身売り:破産手続きを開始していた電動自転車メーカーRad Power Bikesは、Life Electric Vehicles Holdings(Life EV)に約1320万ドルで身売りしました。負債を含めると総額1490万ドルとなります。
  • Redwood Materialsの資金調達:バッテリーリサイクル企業のRedwood Materialsは、Googleを新規投資家に迎え、4億2500万ドルのシリーズEラウンドを調達しました。

その他の動向

  • 乗車サービス間のリアルタイム価格とピックアップ時間を集約するObiのデータによると、サンフランシスコのWaymoとUber/Lyft間の価格差が縮小しています。
  • Uberは、自社で自動運転車を開発するのではなく、センサーを搭載したUber車両でデータを収集し、Lucid、Waymo、Waabiなどのパートナーと共有する新部門「Uber AV Labs」を立ち上げました。

元記事: https://techcrunch.com/2026/02/01/techcrunch-mobility-the-great-tesla-rebranding/