米国洋上風力発電プロジェクト、裁判所命令により建設再開へ

はじめに

アメリカ合衆国では、トランプ政権が停止命令を出していた複数の洋上風力発電プロジェクトに対し、裁判所が一時的差し止め命令(injunction)を出し、建設の再開が許可されました。これは、政府による「国家安全保障上のリスク」という主張を裁判所が退けた形となります。

トランプ政権の風力発電への圧力

トランプ政権は、以前から再生可能エネルギー、特に風力発電に対して批判的な姿勢を示してきました。過去には、洋上風力発電および一部の陸上プロジェクトに対する許可を全面的に阻止する大統領令が出されましたが、これは後に「恣意的かつ気まぐれ」として裁判所によって無効とされています。さらに、建設中の5つの洋上風力発電プロジェクトも標的となり、一時的に2つのプロジェクトがブロックされた後、最終的には「機密扱いの国家安全保障上のリスク」を理由に全てのタービン設置が阻止されました。

「国家安全保障上のリスク」を巡る対立

トランプ政権によるこの突然の設置阻止命令に対し、影響を受けた各プロジェクトの建設企業は一斉に政府を提訴しました。政府が主張する「機密扱いの国家安全保障上のリスク」の具体的な内容は不明なままでしたが、裁判所の審理では、複数の裁判官がこの機密報告書を検証したものの、その説得力は低いと判断されました。ある裁判官は、政府が実際に安全保障上の脅威を真剣に捉えているようには見えないと指摘しています。特に、政府の命令が「風力タービンの運用に脅威があるならば、既に稼働している44基のタービンの運用を許可しつつ、既存タービンの修理や追加18基の建設を禁止するのは不合理である」と述べたことは、この政府主張の矛盾を浮き彫りにしました。

裁判所の判断と建設再開

月曜日までに、これら提訴された全てのプロジェクトに対し、異なる裁判所および裁判官によって同様の一時的差し止め命令が下されました。これにより、各企業は建設を継続できるようになりました。裁判所が差し止め命令を出した主な理由は、政府の停止命令が何の警告もなく発行され、建設企業に甚大な損害を与えることが明らかであったためです。この差し止め命令は、最終的な判決が下されるまで、政府による建設停止を阻止します。

今後の見通し

政府はこの決定に対して上訴する可能性がありますが、これまでの判決の一貫性を見る限り、その成功は難しいと見られています。いくつかのプロジェクトは既に完成間近であり、政府の上訴が審理される前に建設が完了する可能性も高いです。この一連の動きは、米国の再生可能エネルギー政策における法的・政治的障壁を克服する重要性を示しており、将来のインフラプロジェクトに大きな影響を与える可能性があります。


元記事: https://arstechnica.com/science/2026/02/court-orders-restart-of-all-us-offshore-wind-construction/